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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

珍しいカタツムリ

2007年11月22日
小笠原
 小笠原ARの沼田です。
 
 小笠原には100種ちかい陸産貝類(カタツムリ、マイマイ)が生息しています。しかも9割以上が世界で小笠原しか生息しない固有種といわれています!
 しかし、ここ最近ではかなりの数が激減しています。特に父島では固有種のマイマイ(だいたい数mm~数cmぐらい)をあまり見ることはありません。
 それは何故?

 父島に生息するマイマイは陸棲プラナリア類のニューギニアヤリガタリクウズムシにより食べられてしまっているからです。
 もともとこのプラナリアは農作物を荒らす外来のアフリカマイマイの駆除のために持ち込まれたらしいのですが、それにより父島に棲むマイマイは絶滅の危機に瀕しています。
 母島にはこのプラナリアはいないので、固有のマイマイはわりと身近に見られます(もちろんアフリカマイマイも)。

 だけど、プラナリア類の除去はほとんど不可能とされ、またニューギニアヤリガタリクウズムシのような強力な種類は、いったん侵入をを許したが最後、もはや手の打ちようのない事態になってしまいます。
 従って、まだプラナリア類の侵入していない地域を厳重に保護するとともに、プラナリア類の新たな侵入を防ぎ、またすでにプラナリア類の捕食にさらされている個体群は安全な生息地に移して隔離するという方法をとる以外に、小笠原のマイマイの絶滅を回避する方法はないのです。
 
 小笠原では島から島への移動の際には靴に付着している泥を洗い流し、靴底を海水に浸すことを徹底しています。
 プラナリア類は海水に弱いのです。
 世にも貴重な、そして脆弱でもある固有のマイマイを守るために、小笠原へお越しの際には、特に母島や南島へ行く際には靴底を海水に浸すということをお忘れなく!

 ちなみにアフリカマイマイには広東住血線虫という寄生虫がいて、その寄生虫が人間の口から入る最悪死んでしまうこともあります。
 なので、決してアフリカマイマイには触らないで下さい(這った痕も)。もし触ってしまったならすぐに手を洗って下さい。



オガサワラオカモノアラガイ