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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

城ヶ崎海岸の松枯れ防止対策

2011年01月26日
沼津
城ヶ崎海岸は、大室山溶岩流によって形成された溶岩海岸と松林が見事な景勝地で、たくさんの人が訪れる場所です。
しかし、昭和40年代からマツノザイセンチュウ病による松枯れの被害が確認されるようになり、松枯れ防止のために薬剤散布などの対策が行われてきました。松への薬剤注入も対策の1つで、城ヶ崎海岸では「城ヶ崎海岸の松と自然環境を守る会」が10年前から毎年冬に行っています。
今年も1月15日16日の早朝6:30から、松の樹幹に薬剤を注入する作業が行われました。
樹幹注入作業を冬に行うのは、マツノザイセンチュウが侵入する前(春~夏)に、松全体に薬剤が行き渡るようにするためです。(マツノザイセンチュウはカミキリムシの体に付いて移動し、カミキリムシが松の幹を食べた場所から松に侵入します。)薬剤が松の木全体に行き渡っていれば、たとえマツノザイセンチュウが侵入してきても、樹木内で増殖するのを抑えることができるのです。また、早朝から作業をするのは、蒸散が盛んになる前に注入すると、薬剤を吸いやすくなるからです。
このような条件があるので、まだ薄暗くて寒い中、みなさん続々と集合場所にやってきます。そしてグループに分かれて作業にとりかかります。
私は昨年も参加したのですが、昨年以上にみなさんの手際が良く、次から次へと薬剤の取り付けを終わらせていきます。

この作業をするために、会の方々が数日前から松周りの下草刈りをしたり、樹木医の先生が薬剤を吸いやすい部分に印を付けるといった作業をしていたとのこと。みなさん、本当に熱い想いで城ヶ崎海岸の自然を守ろうとされているのです。
薬剤を取り付けた後は、数時間様子を見ることになるのですが、その間も薬剤の吸い具合を確認したり、吸い終わったものがあったら、吸いが良くない部分から薬剤を移したりと、やることはたくさんあります。そして最後に、薬剤を外して専用の殺菌剤と粘土で穴埋めの作業をします。

このようになっているのを見かけたら、それは樹幹注入を受けた松です。

今回は、83本の松に樹幹注入を行いました。
この活動は、城ヶ崎海岸の松を守るために今後も続けられていくそうです。

城ヶ崎海岸の松