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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

鳴虫山巡視

2014年05月30日
日光国立公園
昨日、登山口が事務所から徒歩圏内にある鳴虫山の巡視に行ってきました。鳴虫山は、日光市街地に近い1104mの山で、駅からのアクセスもよく、日光市観光協会などでハイキングコース(上級)としても紹介されている日帰り登山の山です。

今回は、駅寄り東側の登山口からスタート。夏のような陽射しで巡視日和かと思いきや、登りはじめて間もなく日光連山の山々が黒い雲に覆われ、その奥で雷鳴が轟いていました。様子を見ていましたが、黒い雲はそのまま南下して奇跡的に天気を持ち越しました。

曇天の中(左:矢印部分)から午後顔を出した女峰山(右)
 
鳴虫山という名から虫に由来があるのかと思いましたが、聞こえてくるのはツツドリやカラ類の鳴き声くらい。調べると、この山に雲がかかると雨になることから“泣き虫山”と呼ばれ、転じて鳴虫山となったようです。この日の巡視中は、山に雲がかからなかったようですね。

鳴虫山は、天候に恵まれれば日光市街や日光連山の展望がよく、春にはカタクリやツツジ科、秋には紅葉が楽しめるそうです。今回、ツツジの最盛期には一足遅かったようですが、緑がきれいな時期でわずかに残っていたヤマツツジが緑の中で際立っていました。登山道は、ほぼ稜線を境に南側に人工林、北側に落葉広葉樹林が広がっており、森の違いが面白いほど明白に観察できます(特に東側から山頂付近)。ただ、この登山道は傾斜がきつい箇所もあり、道のコンディションがいいとはいえない箇所もあります。

ヤマツツジ(左上)、稜線は森の境界線(右上)、傾斜の様子(下)

鳴虫山は、ハイキングコースという設定やアクセスの良さから手軽さもアピールの1つのようですが、靴などの装備、体調、天候(雨天時、雨天後はおすすめしません)、時間配分など「登山」と思って備えをした方がいいコースという印象を受けました。特に鳴虫山山頂から西側のコースは、急傾斜な上に岩や砂礫、粘土質の土が露出し、晴れていても滑りやすいのでご注意ください。そこを抜けると、清涼感漂う憾満ヶ淵(かんまんがふち)や化け地蔵で有名な慈雲寺へと通ずるルートでもあり、無理なく山行に望めば日帰り登山としては十分に楽しめるコースの山です。

憾満ヶ淵(左)と化け地蔵(右)