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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

ツキノワグマの生息地

2014年07月11日
日光国立公園
 今の時期、戦場ヶ原周辺ではノハナショウブやハクサンフウロの花など彩り豊かで、平日であっても観光客や団体利用者で賑わいを見せています。それだけ大勢の人もいて、また動植物の動きも活発な時期となると、自ずとある野生動物の目撃情報も出てきます。その動物とはクマのことで、このあたりで言う“クマ”は「ツキノワグマ」のことです。

 巡視中、公園利用者からよく耳にするのが、「クマが出たのですか!?」と驚きを交えたフレーズです。日光国立公園は、もともとツキノワグマの生息地なので「出る」ものではなく「いる」ものです。彼らの生息地に、木道や遊歩道を設け、人間側がクマの生息地にお邪魔する形なのです。国立公園を含めた自然公園は、都市公園とは異なり、自然の風景地をそのまま利用してつくられた公園ですから。
 ちなみに、クマが「いる」ということは、諸説ありますがツキノワグマはアンブレラ種とも言われ、それだけ豊かな自然があるという指標でもあるそうです。だから、皆さんも訪れたくなるような自然豊かで魅力的な地でもあるのだと思います。

 クマの注意喚起の看板の中には、注意の意識を促すために牙がむきだしで、一見すると人間を積極的に襲うかのように捉えられるものも少なくありません。本来、ツキノワグマはおとなしい性格で、雑食性ですが植物を主食とする野生動物です。とはいえ、体長は成獣ともなると110~150cm、体重は80~120kg、木登りが得意なため長く鋭いツメをもち、走れば時速40kmものスピードがあるそうです。
それだけ人間との体格や性質の違いがあるので、それが人間もクマも望まぬ形で出遭ってしまえば、事態によっては事故になってしまうことも確かです。
 そのような事態を避けるためにクマが未然に注意をするということは無理なので、人間側がツキノワグマの生態を知っておくことが大事であり、人間側が注意をして出遭わないよう努めることが、互いにとって最善です。それが、彼らの生息地を利用する私たちのマナーのように思います。

 これからの時期、クマは、花や実、昆虫などを目当てに活発に活動しています。無我夢中になって採食していたり、移動していたり、また好奇心旺盛な仔グマもいることでしょう。その場合、母グマが必ず近くにいるので一番要注意です。また近年の傾向として、人間を警戒しないクマも中にはいるようです。「子連れ」・「人の接近に気づかず突発的に遭遇した場合」は、驚いて仔グマや自分を守るために攻撃行動をとるということがあります(クマも人間も同じですね)。

 やはり、お互いのために、遭わないことが一番の得策です。事前に、最寄りのビジターセンターや情報センターで最新の目撃情報を確認し、どのような対応をしたらいいかご確認の上、お出かけください。

◆奥日光クマ目撃情報(日光湯元ビジターセンター)
http://www.bes.or.jp/nikko/vc/osirase/kuma/mokugeki.html

◇日光湯元ビジターセンター http://www.bes.or.jp/nikko/vc/
◇赤沼自然情報センター(日光自然博物館) http://nikkonsm-akanuma.blog.ocn.ne.jp/about.html

◆環境省「クマに注意!」https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/kids/full.pdf


この掲示物を見たら、最近この付近で目撃された場所ということです。ご注意ください!