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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

鳳凰三山の魅力

2015年07月28日
南アルプス国立公園 大石佳織

みなさん、こんにちは。
本っ当に暑い日が続きますね。事務所のある山梨県南アルプス市芦安も
非常に暑いです。みなさん、熱中症には気をつけましょう。

さて、7月24日から25日に鳳凰三山へ巡視に行ってきました。

鳳凰三山は南アルプスの北部にある薬師岳2,780m、観音岳2,841m、
地蔵ヶ岳2,764mの三山を主とする山塊です。
北岳や仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳などと比べると、知名度が低いよう
ですが、とても魅力的な山なんです。

今回は、夜叉神峠登山口から登るコースの魅力をご紹介します。

登り始めは整然としたカラマツ林を進み、夜叉神峠で白峰三山の眺望を
楽しんだ後、再び樹林の中を歩きます。
杖立峠を過ぎたあたりからは、シラビソなどの亜高山帯針葉樹林の林床に
コケが目につくようになります。登山道沿いにびっしりとコケが生えた場所
では、霧がかかると幻想的な雰囲気になります。

(コケむす登山道。コケ好きの私にとってテンションが上がる道です。)






















南御室小屋では南アルプスからの湧水を飲むことができます。
これが本当に美味しいんです♪私はあまりの美味しさに飲みすぎて
しまいました。みなさんも是非味わってみてください。

南御室小屋をあとにし、樹林の中の花崗岩混じりの登山道をヨイショ
ヨイショと登っていくと、突然、巨岩と白砂の開けた稜線に出ます。
固有種のタカネビランジも出迎えてくれます。
そして、大きな岩をぐるりと回り込むと、そこには素敵な眺望が...!

(上:稜線に出て最初に出迎えてくれるのは、薬師岳(右側)と観音岳(左側)。
 下:タカネビランジ。7月24日撮影。北岳などで見られるタカネビランジは白っぽい
   花が多いのですが、鳳凰三山ではピンク色の花が多く見られます。)





















白砂の稜線を歩き、薬師岳、観音岳を満喫したら、最後は地蔵ヶ岳です。
地蔵ヶ岳にはオベリスクと呼ばれる巨岩の山頂があり、岩場を楽しめます。
さらに、山頂手前の賽ノ河原という場所では、たくさんのお地蔵様を見ることができます。
これは「子授け地蔵」と呼ばれるもので、子授けを願って地蔵ヶ岳に登拝した夫婦が奉ら
れている地蔵一体を持ち帰り、願いが叶って子を授かると二体にしてお礼の登拝をする
という信仰によるものです。

(賽ノ河原のお地蔵様と地蔵ヶ岳のオベリスク)





























このように、鳳凰三山では、一度の登山で様々な景観や自然を楽しめ、山岳信仰にふれることも
できる魅力いっぱいの山なんです。
この夏、南アルプス登山を計画中の方、鳳凰三山はいかがですか?


*山小屋について
 鳳凰三山の山小屋は事前に連絡を入れる必要がありますので、ご協力をお願いします。

*開花情報
 シナノオトギリ、ミヤマバイケイソウ、タカネグンナイフウロ、ヤマオダマキ、クルマユリ、
 ツマトリソウ、ミヤマゼンコ、ミヤマシシウド、ヒメコゴメグサ等。
 タカネビランジはつぼみを付けた株もたくさんありましたが、ほぼ満開です。
 ミヤマウイキョウ、トウヤクリンドウは咲き始めの株もありました。
 オヤマリンドウも今にも開花しそうな株がありました。