アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
シカの食害見学会
2015年09月17日
富士箱根伊豆国立公園
8月29日に小田原山盛の会が主催する箱根外輪山におけるシカの食害状況を見学する会が開かれました。小田原山盛の会では現在定期的に箱根外輪山でシカの食害を調査していて、その被害の実態を周知するために今回の会が催されました。
環境省では、神奈川県や箱根町と協力して、箱根地域におけるシカの分布状況の把握や、対策の検討を行っているため、業務の参考にするために、今回の会に参加したものです。
当日には周辺市町村、関係団体の方たちが多く参加され、シカ問題に対する関心の高さがうかがえました。案内は元東京農工大学教授の古林先生が行いました。
今回のルートは外輪山を南足柄市側より登り、箱根町との境あたりを主に見学しました。
まずは南足柄の桧山林道を通って山に入りましたが、林道の法面の草が食べられて牧草地のようになっていました。よく観察してみると、ほとんど全ての植物に食痕があることがわかります。またヒヨドリソウのようなシカが好まない植物だけが残っています。
森の中でも獣道や足跡、糞などが確認できます。
新しい皮剝ぎ被害の跡。
枝折り被害。
何度も食べられた葉は矮小化する。
林内に下層植物がほとんどない状態。
普段何気なく通り過ぎてしまうような光景でも、よく観察してみるとシカの痕跡が沢山残っていることに今回気付かされました。
箱根全体ではシカの被害はまだそれほど大きくありませんが、箱根の外側から徐々にシカが侵入していることが伺えました。
環境省では、箱根町内の5個所にモニタリング用の10m四方の柵を設置し、その内外の植物を比較することにより、シカの影響の調査をしています。
箱根でもシカの被害が徐々に広がっている現在、今後も新たな調査、対策を検討していきたいと思います。