アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
荒川岳での冬支度
2015年10月06日みなさん、こんにちは。
肌寒い日が増え、ニホンジカのオスの求愛の鳴き声(ラッティングコール)が
夜な夜な響き、事務所のある芦安も秋の深まりを感じられるようになってきました。
秋が深まると、南アルプスではやらなければならない作業があります。
それは、防鹿柵の冬支度です!
南アルプスでは、数の増えたニホンジカから高山植物を守るために防鹿柵を
設置していますが、冬には多くの雪が積もるため、設置したままにすると
雪の重みで柵が壊れてしまうんです。
そこで、冬が来る前に柵を片付ける作業を行っています。
今回は7月にも紹介した荒川岳の防鹿柵の、冬支度の様子をお届けします!
※7月の作業の様子はコチラ
(秋深まる荒川岳 10月3日撮影)
作業は10月2日から4日の日程で行われました。
南アルプスの秋は深まっており、草黄葉が見事です。また、朝は冷え込み、防鹿柵の
設置されている標高2800m付近へは霜柱を踏みしめながら向かうことになりました。
(写真左:登山道上にできた霜柱 10月3日撮影)
(写真右:荒川岳の防鹿柵と赤石岳 10月3日撮影)
防鹿柵の冬支度はネットを支柱から外して地際にまとめ、支柱を倒して雪で
流されないように固定する作業です。
(作業の様子 10月3日撮影)
今回もスタッフの皆さんは、地下足袋など植物を傷つけにくいものに履き替えて
作業をしてくださいました。
冬支度した防鹿柵は、来年の雪解け後、再び立ち上げる作業が行われます。
増えすぎたニホンジカの問題が解決するまで、年2回の作業は続けていかなければ
なりません。
今回の作業では、種子や冬芽をつけ、次の春への準備をする高山植物の姿に出会い
ましたが、この命の営みがいつまでも続くように、今できることに取り組むことの
大切さを感じました。そして、バランスの崩れた自然と向き合うためには、そこに
関わる全ての人が根気強く協力していくことが必要になるんだとしみじみ感じました。
(種子をつけた高山植物 10月4日撮影)
【秋山登山をされる方へ】
気温が低くなっています。陽射しがあっても風が強い日はあっという間に体温を
奪われるため、低体温症等に注意が必要です。風や寒さに対応できる装備を持ち、
適切に使用することが大切です。
また、夏季に有人だった山小屋も、無人の冬季小屋となっているところも多く
なっています(トイレも閉鎖されています!)。最新の情報を収集して計画を
立て、安全に秋山を楽しんでくださいね。