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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

天空の秘境 ー鬼怒沼ー

2015年10月08日
日光国立公園 櫨木 めぐみ

 秋晴れの快晴の中、栃木の秘境、鬼怒沼へ行ってきました。鬼怒沼は栃木県の西端にあり、奥鬼怒温泉郷の先の山上にひっそりと佇んでいます。

 鬼怒沼登山口へのアクセスは、栃木県内からの場合、女夫渕で車両通行規制があるため、そこから徒歩となります。奥鬼怒温泉郷にはいくつか温泉宿がありますので、時間にゆとりのある温泉宿とセットというのがお勧めです。

 登山口は、日光澤温泉の敷地を横切りスタートします。登山道を歩いてすぐ目につくのは、たくさんの注意書きです。足を進めると注意書きの通り、確かに傾斜がきつく、ガレ場もあり、いつ落石があってもおかしくないもろい箇所が点在していました。そういう箇所は立ち止まらず、安全にできるだけ速やかに立ち去りましょう。

 特に登り始めは、地形図をみても等高線がぎっしり詰まっているように本当に急傾斜が続きます。無理をしないことが一番です。ゆっくり自分のペースを整えるか、Uターンする勇気も必要です。何しろ、ここは秘境。何かがあっては、街中のようにはいかない条件がそろっています。

 さて、紅葉している木々と針葉樹の樹林の中をひたすら登り続けると、少し傾斜も落ち着いてきます。周りを見る余裕もでき、そんな時発見したツキノワグマのツメの痕。そう、ここもクマの生息地。利用者数も限られる奥地なので、自身の存在をアピールしてきちんと入山するマナーを守らないと、ですね。道中、こんなシャレのきいた注意書きもありました。

 登り続けること約2時間(小屋までは2時間半)、樹林帯から一気に視界が開けます。そこは、標高約2000mの高層湿原地「鬼怒沼」が広がっています。頭では理解しても、あの樹林帯の山上にこんな世界が広がっているということが不思議に感じます。

 山上では、北は尾瀬の燧ヶ岳、南は日光白根山などが臨めます。ちょうど草紅葉の時期で、ひと味違った紅葉を楽しめます。山上の紅葉シーズンには限りがありますが、この景色は見る価値があります。秘境中の秘境へ来る機会があれば、是非足をお運びください。

 ちなみにこの日は、秋晴れで陽射しも暖かく樹林内では無風で穏やかでしたが、湿原付近では北からの風が冷たく、何枚も上着を着込みました。これからの時期は、ニット帽やダウンなどの防寒着の備えは必須です。