アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
湯川カワマス産卵観察会
2015年10月26日世間一般では秋冷の心地よい季節の中とのことですが、標高1、500m近くの湯元ビジターセンターでは昼間からペレットストーブが稼働しており、早くも冬の到来を感じさせます。
湯元に限らず奥日光にお越しになる際は暖かい上着の用意をオススメします。
湯元周辺の紅葉シーズンはほぼ終了となっていますが、いろは坂周辺の山々ではパレット模様で彩る美しい紅葉となっており、今月末前後までは見頃かなぁと思います(ピークは過ぎたと思います)。
さて、今回の日記はカワマス。
先週末(研)水産総合研究センター増養殖研究所と全国内水面漁業協同組合連合会日光支所主催の「湯川カワマス産卵観察会」に参加し、スタッフの方からカワマスの生理生態や奥日光の釣りの歴史などを解説していただき、その後、解説いただきながら湯川でカワマスを観察しました。
湯川のカワマス2匹 小滝で観察
カワマス(別名ブラウントラウト)は、北米大陸を原産地とするサケ科イワナ属の魚です。
名前に「マス」とついていますが、分類学上はイワナの仲間なのがちょっとややこしいです。
1902年(明治35年)、貿易商であり長崎のグラバー園で有名なトーマス・グラバー氏が英国大使館員であったハロルド・パーレット氏らの協力を得て奥日光の湯川に初めて放流され、現在、湯川は全国的に希少なカワマスの生息地となっています。
現在は放流は行わず、自然産卵で資源を維持する「キャッチアンドリリース」が実践されており、近年ではカワマスの繁殖行動や産卵シーンを目にする機会が増えたとのことです。
小滝下流の橋から眺めると、1匹のメスをめぐり2~3匹のオス同士が執拗に奮闘している様子が見受けられました。そういえば動物のオスはメスをめぐりオス同士が争い、時に致命傷のような深傷を負って息絶えることもあるそうです。オスにはそうしてでも自分の遺伝子系統を存続させたいという強い気持ちがあるのでしょうか。
ん~わからんでもないです。
日光地域のアクティブレンジャー3年目ですが、魚類や釣りについての知識がほぼ無かったので、今回の催しで日光の新たな一面を認識し、理解する良い機会となりました。
奥日光の歴史や文化、自然を語るうえで欠かせないカワマスと釣りの関係性。
そして、それが奥日光の魅力を形作る1つだということを再認識した1日でした。
湯川でのカワマスの繁殖行動は11月にかけても観察ができるとのこと。
残されたチャンスはあとわずか。是非カワマスの観察においでください。
菖蒲ヶ浜にある「さなかなと森の観察園」で、"おさかなの理解を深める晩秋"は如何でしょうか。