アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
着任のご挨拶
2016年05月10日はじめまして
4月1日より日光自然環境事務所にアクティブレンジャーとして着任しました太田祐司と申します。
アクティブの名にはちょっと似合わないオジイチャンARです。
若手ARには無い?感性で、日光国立公園の自然について情報発信をしていきたいと思います。
私の今年度の主要な業務の一つが、全国的にも課題となっているシカ対策です。
戦場ヶ原地域は延長約17kmのシカの侵入防止柵で囲われ、湿原植生等を守っています。
写真のように柵の内外では明らかに植生の違いがわかるようなシカによる生態系被害が発生しています。
柵の左側(内側)と右側(外側)の植生の違いに注目!
少し前の話(4月中旬~下旬)になってしまいますが、奥日光でのシカ対策として、栃木県林業センター・日光地域シカ対策共同体により実施されたモバイルカリング(射手を乗せた車両で走行し、シカ発見時に停止して射撃を行う)に参加しました。
中禅寺湖の北西部の山中を走る市道1002号線の弓張峠~千手が浜間(約4.8km)を閉鎖して、16時から日の入りまで作業が行われました。
先行するのが射手の乗った車両 後続のトラックは捕獲個体の回収車両
周囲のカラマツ人工林はほとんど下草が無く、幹にはシカの食害から樹木を守る保護テープが巻かれており、ちょっと変わった風景です。
カラマツに巻かれた保護テープ
折り返し地点で、サンショウウオの卵があるよと教えられ、山際の水たまりをみると・・・白い卵嚢がありました。クロサンショウウオのようです。
クロサンショウウオの卵嚢
まだ、冬枯れの奥日光でしたが、春が近づいて来ているのを告げています。
この日の作業ではシカの発見はありましたが、発砲には至らずこの日は捕獲できずに終了でした。
シカ対策の困難さを感じた1日でした。
平成28年春のモバイルカリングは4月22日で終了しました。
5日間で9頭捕獲しました。栃木県林業センターの研究員の方の考察では、
・今春は捕獲効率(頭/時間)0.85で、昨春4.5より大きく減
・出没数が昨春より少なく、かつ発砲前に逃走する個体が多い傾向
・積雪や季節移動との関連について今後解析が必要
今後も、奥日光の自然生態系を守る業務に努力して行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。