2017年7月
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2017年07月13日奥日光のカミキリムシ
日光国立公園 太田祐司
みなさん、こんにちは!
前回(7月3日)の私のAR日記は、奥日光の巨樹を紹介させていただきました。
今回は、そんな樹木を食べる奥日光のカミキリムシを紹介させてください。
最初はシラフヒゲナガカミキリ。その名のように触角の長い、大きさは19mmから28mmぐらいの
割と大型のカミキリムシです。奥日光の亜高山帯のオオシラビソ等針葉樹の衰弱木に集まり産卵します。
笹の上のシラフヒゲナガカミキリ
奥日光は天然カラマツも多く生育しており、各地で巨木を見ることができます。
天然カラマツの樹皮下を食害するのがミドリヒメスギカミキリ。天然カラマツの巨木を注意して見れば、樹皮上を這い回っているのが観察できるかもしれません。体長は8mmから12mmぐらいなので注意深くないと気づきませんが、金属光沢のある緑色から青緑色に輝くきれいなカミキリムシです。
カラマツの幹上のミドリヒメスギカミキリ
次はアラメハナカミキリ。鞘翅がザラザラした感じが名前の由来の様です。体長は12mmから19mmぐらいの小さなカミキリムシです。亜高山帯の針葉樹の、樹皮が剥がれ落ちた立ち枯れ木に集まり、産卵します。
針葉樹の立ち枯れ木にとまるアラメハナカミキリ
今回紹介したカミキリムシは、いずれも針葉樹林に生息します。生木に食い入るものから、枯れ木を食して分解の促進に役立つものもいます。奥日光の涼しい針葉樹林の中で、樹木を眺めて、こんな虫を観察するのはいかがでしょうか?
2017年07月13日【富士山がある風景100選】駒ヶ岳(箱根周辺エリア)
富士箱根伊豆国立公園 宍戸弘城
みなさん、こんにちは。
今回は、富士箱根伊豆国立公園80周年を記念して選ばれた"富士山がある風景100選"の1つ、駒ヶ岳山頂からの富士山を紹介します。
("富士山がある風景100選"については富士五湖小西アクティブ・レンジャーの日記をご覧下さい。
http://kanto.env.go.jp/blog/2017/06/100-1.html)
駒ヶ岳は標高1,356m。箱根の中央火口丘に位置する山です。
植物保護のためのシカ柵を環境省が試験的に設置しているので、
その点検で行ってきました。
空気が澄んだ冬に比べて、どうしても雲が多くなってしまう夏はなかなか富士山が見られるチャンスが少ない箱根、今回はその姿を拝むことができるでしょうか。
現在駒ヶ岳山頂へ通じる登山道は大涌谷の噴気の影響で全て通行止めとなっています(2017年7月現在)。
そのようなわけで山頂へ登れる唯一の手段、ロープウェーに乗って出発です!
動き出すとあっという間に高度を上げていくロープウェー。先ほどまで間近にあった芦ノ湖もぐんぐん小さくなります。
遊覧船もミニチュアのよう。
そして...
富士山見えました~!
この時期に咲くヤマボウシなどの白い花々が山肌の緑に映えてとても綺麗でした。
標高が100m高くなると気温が0.6℃下がるといわれていますので、1,300m以上ある山頂では暑い夏でも少し涼しく感じられます。
上は風衝地のためか高い樹木は育たず広い草原になっています。
夏はホタルブクロ、シモツケ、トリカブトなどが咲きます。
山頂には箱根神社の奥宮もあります。
最近の箱根は外国人観光客がとても多いのですが、駒ヶ岳山頂も例外ではなく沢山の外国人の方達が、富士山や山頂から見られる箱根の景色を写真に収めていました。この日に来られた方はとてもラッキーですね。
富士山と眼下に芦ノ湖。
今回はぼんやりとしか見えませんでしたが、視界が良ければ東の方角に相模湾や東京スカイツリーも見られます。左に小さく映っている「大」の字は、明星ヶ岳の大文字です。毎年8月16日に大文字焼きが行われます。
今回は夏の富士山でしたが、また紅葉の時期や雪化粧をした富士山も見に来たいですね!
++++++++++"富士山がある風景100選"とは +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
富士箱根伊豆国立公園指定80周年記念事業の一環として、国立公園内と周辺地域の代表的な富士山の展望地を"富士山がある風景100選"として選定しました。
その他の選定地などの情報につきましては環境省関東地方環境事務所のページをご覧下さい。
http://kanto.env.go.jp/pre_2017/80_1.html
http://kanto.env.go.jp/to_2017/post_94.html

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2017年07月12日2017年富士山、夏山シーズンスタートしてます!
富士箱根伊豆国立公園 小西 美緒
ご報告が少し遅くなりましたが、富士山は、吉田ルートは7月1日、
須走・御殿場、富士宮ルートは10日に予定通り無事開山しました。
これから9月10日の閉山まで富士山の短い夏のスタートです。
ただ、今年は開山前の降雨が少なかったせいもあり、雪解けが遅く
山頂の火口を巡る通称「お鉢巡り」はまだ雪が残っている箇所もあり
一部区間は通行止めとなっています。
最高地点の剣ケ峰に行くことは可能ですが、一周することはできませんので
ご注意ください。
山頂周回線歩道(通称:お鉢めぐり)の部分開通について(富士登山オフィシャルサイト)
山梨県側では、麓の北口本宮冨士浅間神社と五合目にある小御嶽神社にて
毎年6月31日に前夜祭、7月1日に開山祭が開催されていて、
今年も富士講の方や関係者一同と、夏山期間の安全を祈願しました。
毎年参加する度に、富士山が古くから信仰の対象であり世界文化遺産であることを実感します。
園児たちも富士講の行衣を来て毎年参加します(前夜祭@北口本宮冨士浅間神社)
「六根清浄」と唱えながら、神社を目指す富士講の方々
麓の北口本宮冨士浅間神社に参拝する富士講の方々
大天狗によるお道開き(スバルライン五合目 小御嶽神社)
登山道を神輿と共に練り歩きます(スバルライン五合目)
このような行事だけでなく、登山道や山小屋でも信仰の歴史を垣間見ることができます。
またの機会にご紹介したいと思います。
皆さんも今年は登山の前に神社に立ち寄り安全を祈願し、
そして富士山の歴史と文化を感じながら登ってみてはいかがでしょうか?
富士山の違う姿が見えてくると思います。
*注意*
富士山は日本一高い山です。登山は決して簡単ではありませんので、
事前の情報収集をし、万全の装備を整えた上で、楽しく安全に登り、
素敵な夏の思い出を作ってくださいね。
2017年07月12日夏といえば海! 海といえば伊豆下田!
富士箱根伊豆国立公園 下田 吉川貴光
ジリジリと太陽が照りつける中、伊豆下田では、徐々に海水浴を楽しむ方が増えてきました。
今回は下田の海をご紹介いたします。
(上段:田牛海岸 鍋田浜 外浦海岸
中段:九十浜 白浜大浜 入田浜
下段:吉佐美大浜 白浜中央 多々戸浜)
下田の浜は、伊豆半島の地形上、山や岩でいくつかに分かれています。
そのため大きな浜からプライベートビーチの様な小さな浜、波の静かな浜など様々な浜が点在しています。
共通しているのは、とにかく海が綺麗なことです。
(2017/07/06 白浜大浜海水浴場)
その中でも一番有名な海が白浜大浜海岸です。眺めているだけでも楽しめそうな真っ白の砂浜と青い海が続く広々とした海水浴場です。下田といえば、白浜というイメージの人も多いです。毎年約40万人が訪れます。
7月初旬は、それほど混んでいる印象は受けませんでしたが、海開き後、夏本番の混み具合は未知数です。
(2017/07/06 九十浜海水浴場)
こちらは、九十浜です。見てのとおり小さい浜ですが、周りは山に囲まれ、まるでプライベートビーチのような感覚になります。入り江になっているので波は比較的穏やかで近くの磯ではシュノーケリングを楽しむ人もいました。坂を下って到着する浜なので、帰りは上りです。帰る体力を残しておいてください。
(2017/07/06 入田浜海水浴場)
こちらは入田浜です。若干行きにくいところにある海ですが、人気の高い海です。
サーファーの人気も高く、外国の方も多いように思います。海水の透明度はかなり高く、海底に映るサーフボードの影、足下を泳ぐ魚がくっきり見えました。南国の海にいるような気分を味わえます。
海によってそれぞれ特徴があるので海水浴場を巡って、自分好みの海をみつけてみてはいかがでしょうか。
最高の海があなたをお待ちしております。
2017年07月07日ミズバショウ・ニッコウキスゲだけじゃない!尾瀬の魅力
尾瀬国立公園 柳澤美果子
みなさん、こんにちは!
「尾瀬」のイメージとして、みなさんは、何を思い浮かべますか?
童謡「夏の思い出」で歌われているミズバショウ、そして夏の湿原を彩るニッコウキスゲという方が
多いのではないでしょうか?
実際、6月初旬のミズバショウ・7月中旬のニッコウキスゲのシーズンに沢山の入山者が集中します。
が!尾瀬の魅力はそれだけではありません!
まず、今の見所として紹介するのが・・今年、大当たりのワタスゲです!![]()
中田代のワタスゲ
尾瀬ヶ原のあちこちで、ワタスゲの白い絨毯が広がり、ふわふわの綿毛がそよそよと風に揺られています。
尾瀬3年目を迎えた私も、この光景は初めてです。一見の価値あり!
他にも、カキツバタやヒオウギアヤメ、小さくかわいい花々が沢山咲いています。
ヒオウギアヤメ
トンボ探しも楽しみの1つ。
トンボの楽園の尾瀬には、日本一小さなトンボもいます。
ハッチョウトンボ
写真ではサイズ感がわかりづらいですが、大きさは、なんと2センチ程。
頭から腹の先まで、1円玉に収まるサイズです!
そして、尾瀬を楽しむなら、小屋で宿泊するのがおすすめです。
行程にゆとりができるのはもちろん、ゆっくりと静かな時間を過ごすことができます。
尾瀬に泊まらないと見られない景色もたくさんあります。
夕方は夕日を眺めながら、夏の夜は、湿原を舞うホタル、
朝は朝霧に包まれる幻想的な光景が広がっています。
白い虹
粒子の細かな霧粒に光が当たると、光の回折現象で虹が白く見えるそうです。
今回はかなりうっすらでしたが、いつかは、ザ・白い虹を見たいものです。
雨の翌日に晴れると、白い虹が現れる事が多いようなので、この時期は狙い目かもしれません!
尾瀬には季節ごとにたくさんの魅力があります。
2017年07月03日トキのえさ場には何がいる!?
佐渡 原奈緒子
みなさま、こんにちは
6月22日(木)に佐渡の行谷小学校にて「水辺の生きもの調べ」に参加してきました。
この生きもの調べは校区内のトキのえさ場となり得る場所で、生き物の観察をすることによって佐渡の自然や環境に対する興味を深めさせることを目的に2001年より行われています。全校生徒69名が参加し、4つの地区に分かれて行います。
▲長靴の上から水が入るのもお構いなしで水田の江(水路上の深み)に入る子供たち
▲生きものを捕まえたら、容器に入れて観察します
私たちはボランティアティーチャーとして参加しましたが、重要な注意点が1つあります。それは、生きものの名前をすぐに教えないこと。子供たちが自分たちで調べられる環境を作ることが大切なのです。実際に高学年の子は生きもの調べの経験も豊富になり、知識の豊かさに感心しました。このカエルはなんだろう、、サドガエルかな、、、と話しているとすぐに、「サドガエルはお腹が黄色いからこれはツチガエルだよ」と教えてくれます。私自身、トキのえさ場で実際に生きものの観察をするのは初めてだったので、水辺で観察できる生きものの種類と数の多さに驚きました。
▲生きもの図鑑を使って名前を教え合う子供たち
▲変態中のアマガエル
中には変態真っ最中のアマガエルもいました。「この尻尾はどうなるでしょう。」という問いかけに、答えるべくこの個体は学校に持ち帰って継続観察を行うようです。
今回観察を行った場所はトキの飛来が多く確認されるだけでなく、今の時期には屈指のホタル観察スポットとなります。
▲水辺を飛ぶホタル
今回の生きもの調べを通して、水田を含む水辺の環境はトキのえさ場となるのはもちろんのこと、様々な生きもののすみかとなり、豊かな自然を育む大切な存在であることを改めて認識しました。農業従事者の高齢化が進む中で、次世代をになう子供たちが佐渡の自然の豊かさを楽しみながら学ぶ様子を見て、この自然への興味を大人になってもぜひ持ち続けてほしいと勝手ながら思いました。
2017年07月03日奥日光の巨樹たち
日光国立公園 太田祐司
みなさん、こんにちは。
奥日光では大人気のクリンソウもほぼ終了で、戦場ヶ原のワタスゲもピークを過ぎました。小田代原のレンゲツツジやアヤメがこれからは見頃でしょうか?
奥日光は、そんなきれいな花ばかりではなく、大きな樹木も見応えがあります。
そんな巨木を紹介させてください。
光徳園地の三本楢
最初は光徳牧場のそばの光徳園地にある木です。
光徳園地には大きなミズナラが三本並んで生育しています。
この周りではお昼時、修学旅行の子供たちがお弁当を広げています。
牧場のアイスクリームを食べながら、園地の野外卓に座って眺めてください。
戦場ヶ原の赤沼発の低公害バスに乗って、西ノ湖入り口で下車し約20分ほど歩くと柳沢川を渡る吊り橋があります。橋を渡ると巨木の森になります。この当たりは千手が原と呼ばれ、ハルニレやミズナラの巨木が林立しています。森を抜けると西ノ湖です。ここではヤチダモ林が有名ですが、湖岸には巨木も多いです。
西ノ湖の西岸にあるドロノキの巨木
撮影は6月上旬だったので、ズミの花も咲いていました。
西ノ湖の千手楢
北岸には多くの太い枝を張りだしたミズナラの巨木があります。遠くから見ると千手観音の手のように枝を張り出しています。
この巨木を支えるために、根も大きく盛り上がり、まるで熱帯雨林にある樹木の板根のような雰囲気です。![]()
これらの巨木はお花のような派手さはありませんが、何か神々しさを感じます。
奥日光は日光市街地が雨でも、晴れていることがあります。梅雨時でも是非、見に来てください。


こんにちは!小笠原ARの荻野裕太です
小笠原固有で島に生息する唯一のほ乳類、オガサワラオオコウモリ。
島に自生する様々な樹木の葉や果実、花を食べて暮らしています。
一方で、農家や家庭菜園の果物を食べてしまう被害もあり、
小笠原では農業被害を防ぐため果樹園にコウモリ避けの樹脂製ネットを張るなどの対策に取り組んでいます。
固い素材の樹脂製ネットに比べ、柔らかい素材のキュウリネットなどで果樹を囲った場合、
コウモリがネットに絡まる事故が発生し、翼にケガをしてしまったりします。
和 名 : オガサワラオオコウモリ
学 名 : Pteropus pselaphon
絶滅危惧IB類(EN)(環境省第5次レッドリスト)
国指定天然記念物
今年5月小笠原世界遺産センター内に動物対処室ができ、
常駐の獣医師による野生動物やペットなどの初期治療が実施できるようになりました。
そうした中、今年7月初旬にネット絡まり事故で怪我をした1頭のコウモリが、
動物対処室に搬送されてきました。
搬送されたコウモリは、獣医師や地元NPOの懸命な治療やリハビリのおかげで、
無事に野生復帰できる状態まで回復し、放獣することができました。
当日は雨でしたが、放獣されたコウモリは、
優雅に空を舞い、夕暮れの小笠原の森へ戻っていきました。
動物対処室が出来る前は、島内ではこうした治療は出来ず、島外の動物病院などに移送して治療してもらっていましたが、動物対処室が出来、一定の治療ができるようになり、野生復帰にまでつなげられたことは、小笠原世界自然遺産の価値を守るとても画期的な1歩だと思います。
〈動物対処室の運営主体〉
おがさわら人とペットと野生動物が共存する島づくり協議会
https://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/kankyo_kyougikai/