アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
伊豆大島:夏休み親子噴火実験教室
2017年08月09日8/4(金)、伊豆大島火山博物館において「夏休み親子噴火実験教室」が開催され、スタッフとして参加してきました。
伊豆大島は火山島であり、地球の活動の歴史を感じられる場所として2010年に日本ジオパーク認定を受けました。
この実験教室は、自分たちの住む島がどのようにできたものか楽しく学び、いずれまた起こる噴火に備えるねらいで、3年前から始まったものです。(主催:伊豆大島ジオパーク推進委員会 教育文化部会、環境防災部会)
今年の参加者は、島の小学1-5年生の児童21名とその保護者。
中には、前年または前々年からのリピーターも!
当日最初のプログラムは、火山講義です。
いざ噴火したとき一体何が起こるのか、31年前に大島の三原山が噴火したときのニュース映像を交えて解説してくれました。この噴火は、約1ヶ月の全島避難を伴う大規模なものでした。
自分たちの島で実際に起きた、自分たちの知らない時代の大災害に、子供達は興味深そうに聞き入っていました。
講義の後は、噴火に伴う諸現象を再現する実験を行いました。
こちらは、伊豆大島の模型を使った火山灰・噴石の噴出実験の様子。
中央の三原山火口からいろいろなサイズの麩を一気に噴出させ、噴出物の大きさや風向によって堆積する場所が違うことを勉強しました。本物の溶岩や火山灰などにも触れて、重さや質感も体験しました。
小麦粉と水を混ぜて作った溶岩での噴出実験です。
粘り気の違う2種類の溶岩をボードの穴から噴出させ、噴火後の流れ方の違いを確認しました。
大島の溶岩は比較的サラサラで流れやすく、三原山は平らな形に拡がっています。島の子供たちは、白い溶岩山(写真右側)が三原山だとすぐに気が付きました。さすがです。
伊豆大島の地形を精密に再現した模型を使っての溶岩流実験です。
大島の溶岩粘度に合わせたシャンプーを火口に流し入れ、あふれた溶岩が流れる方向を確かめました。溶岩が流れやすい野増(のまし)地区には、民家を守るための溶岩導流が作られており、模型上に粘土を置くことでその働きを学びました。
しかし、実際は火口以外のどこからも噴火する可能性があります。子供たちは「どこから溶岩が流れ出すと自分たちの家や学校が飲み込まれてしまうのか」熱心に検証していました。
他にも、炭酸水を使った水蒸気噴火など計6つの噴火実験を行いました。
最後の質問タイムには次々と手が挙がり、島の子供たちの好奇心や防災意識がうかがえました。
三原山は神聖なものだとして、地元では御神火様(ごじんかさま)とも呼ばれ崇められてきました。
自然災害のリスクだけでなく、さまざまな恵みを与えてくれる活火山と未来も共存していくために、保全や防災に繋がる環境教育はとても大事なことなのですね。
魅力あふれる地域資源を活かし地域の活性化を図るため、国立公園は今後もジオパークと連携していきます。
伊豆大島ジオパークについてもっと詳しく(公式サイト):http://www.izu-oshima.or.jp/geopark/