2017年9月 5日
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2017年09月05日運が良ければこんな景色も!<富士山麓編②>
富士箱根伊豆国立公園 沼津 三上和希
富士五湖の小西アクティブレンジャーの運が良ければこんな景色も!<富士山麓編①>に続き、今回は富士山にかかる雲についてお伝えしていきます。
富士山を眺めると、その時々で様々な形の雲がかかっていることがあります。
古来より富士山にかかる雲の種類を手掛かりに天気を予報する方法があります。
今回は、富士山にかかる雲の種類と天気の関係をご紹介します。
富士山では山の斜面に沿って空気が上昇するため、空気が冷やされて雲が生じます。そのときの気流の動き等により、様々な形の雲が形づくられます。
富士山では笠雲と吊るし雲と呼ばれる雲が代表的です。
<笠雲>
笠雲は山頂付近に見られ、まるで山が笠をかぶったように見える雲です。
皆さんは「富士山が笠をかぶれば近いうちに雨」という天気ことわざをご存知でしょうか。実際に富士山に笠雲がかかると高い確率で雨が降るようです。
笠雲の中にも形によって種類があります。
【ひとつ笠】
雨を知らせる笠雲。春から夏にかけて発生します。
【かいまき笠】
山頂が掻巻(かいまき)を着たようにみえる笠雲。秋頃の小春日和に発生します。このあと風雨とも強くなります。
【まえかけ笠】
良い天気になりますが、晴天は長続きしません。夏に発生します。
一方、笠雲の中には良い天気の前兆を示すものもあります。
【はなれ笠】
山頂から離れている笠雲。冷え込みが厳しくなり、晴天が続く前兆です。冬に発生します。
【吹き出し笠】
風が強くなり、晴れることを示します。冬に発生します。
【積み笠】
良い天気となり、冷たい風が強くなることを表します。春に発生します。
<吊るし雲>
吊るし雲は、富士山を乗り越えた空気の上下動により山の風下側に生じる雲です。富士山から離れた位置に作られます。吊るし雲が現れると、雨になる確率が高いと言われています。
吊るし雲にも種類があります。
【はち】
【はどう】
【つい】
「はち」は春、「はどう」は夏、「つい」は1年を通して見られるようです。
富士山が見えたら、どんな種類の雲がかかっているか確かめて、「富士山やその周辺の天気はどんな状況だろう」、「この後どんな天気になるだろう」と予想してみてはいかがでしょうか。
みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
先日、白根御池小屋から二俣分岐の周回ルートで北岳巡視に行ってきました!今回は、巡視中に見つけたユニークな植物たちをみなさんにご紹介したいと思います。
1つ目は『センジュガンピ』というお花です。
(北岳のあちこちで見ることができるセンジュガンピ)
花弁の先が浅く裂け、フリルのようになっているのが特徴です。花は白く、ちょこんと咲いていて可愛らしい姿です。独特な名前と形がとても印象的なこのセンジュガンピ、実は、私が初めて覚えた高山植物なのです!花期は7月中旬から8月上旬。盛りは過ぎてしまっていますが、もしかするとまだ見ることができるかもしれません。ぜひ、みなさんに見ていただきたい植物のひとつです。
2つ目は『タカネナデシコ』です。
(ピンク色が鮮やかなタカネナデシコ)
タカネナデシコは、センジュガンピと同じくナデシコ科の植物です。五弁花であるところは同じですが、花弁の先が細く、深く裂け、糸のような形をしています。このような形の花はなかなか見ることができないですよね。鮮やかで大きなピンクの花がよく目立つので、すぐに見つけることができると思います。より低い標高に生育するカワラナデシコを含め、このなかまは変異が大きいので、いろいろと見比べてみるのも面白いかもしれません。南アルプス国立公園においては、保護対象として指定植物に選ばれています。
3つ目は『キツリフネ』です。
(大樺沢ルート下部で見つけたキツリフネ) (夜叉神峠のツリフネソウ)
カラフルで唇のような形の大きな花がぶら下がり、モビールのようにも見えます。黄色いツリフネソウ、というのが名前の由来です。ツリフネソウの名は、キツリフネによく似た紅紫色の花(写真右)がぶら下がった様を、吊り下げた舟の姿に見立てたようです。後ろに突き出た『距』には蜜が入っており、虫たちに人気の花です。花に触れるとすぐに落ちてしまうので、見つけた際は、触らずに温かく見守ってください。
歩いていると珍しい光景を見ることができました!
(クガイソウの蜜を吸う?ベニヒカゲ)
クガイソウにベニヒカゲがちょうど止まっているところを写真に収めようと粘りました。シャッターを押そうと構えると飛んで行ってしまうので、やっと撮れた1枚です。手前の植物が写ってしまったのはご愛敬ということで・・・・・・。
ベニヒカゲは年に1回、8月頃発生します。橙に黒の斑点が特徴です。登山者の汗を吸いにくることもあるようです。
今年の春はとても寒く、遅くまで雪が残っていたために花の時期がずれこみ、この時期まで高山植物を楽しむことができています。ですが、9月になれば夏とは打って変わり、気温がぐっと下がります。標高が高いところでは、街と比べて朝晩はかなり冷え込みます。ふつう、標高が100m上がると気温は0.6度下がるといわれています。事務所がある芦安の標高は670mほど、広河原インフォメーションセンターの標高は1520m、北沢峠は2030m。単純に計算しても、芦安に比べて広河原インフォメーションセンターでは約5℃気温が下がり、北沢峠でも約8℃気温が下がります。北岳山頂ではなんと15℃も違うことになります!雨はもちろん、たとえ晴れていても風が吹けばかなり寒さを感じます。これから登山される場合には、寒さ対策を十分に行った上で安全に登山を行ってください。みなさんにとって楽しい登山になりますように。