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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

オガサワラハンミョウ「再導入」

2017年09月29日
小笠原国立公園 古田貴士

こんにちは。小笠原の古田です。

ハンミョウという昆虫をご存知でしょうか。ハンミョウは、空き地や未舗装路等に居る甲虫の仲間です。日本では26種程が確認されています。人が近づくと飛んで逃げて数m程先に着地し、更に近づくとまた飛んで逃げて数m程先に着地するといった行動を取ることがあります。道案内をしてくれているように見えることから「道しるべ・道教え」という愛称で呼ばれることもあります。

小笠原にもオガサワラハンミョウという固有のハンミョウがいます。成虫は体長約10-15mm。過去には父島にも生息していたそうですが、生息環境の悪化などにより、現在では兄島の限られた場所でしか見られなくなりました。数が非常に減ってしまったため、国内希少野生動植物種に指定され、保護増殖事業が実施されています。兄島では、過去の生息地において、外来植物の駆除や外来植物の落ち葉の除去などを行い、環境改善を進めています。

つい先日、保護増殖事業の一環として、人工飼育により生まれた成虫を、環境改善した兄島の裸地に放虫する事業を行いました。

以下は放虫時の様子です。

  1. 1. ハンミョウの入ったケースをハンミョウが産卵に好みそうな裸地に置きます。

2. ケースを開けます。

3. ハンミョウが出てきます。

4. しばらくするとハンミョウは飛び立ち、周辺に分散していきました。

今回は合計57匹の成虫を、かつての生息地2箇所に放しました。背中についているピンクや緑色は、放虫時期や場所、性別などを識別し、行動を観察するために付けたマーカーです。

無事に定着し、増えてくれることを願っています。