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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

今シーズンの荒川岳防鹿柵撤去へ

2017年10月18日
南アルプス国立公園

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

少し前の話になってしまいますが、10月の初め頃に荒川岳防鹿柵(ぼうろくさく)の撤去作業を行いました。

初めて南アルプス南部へ足を運びましたが、一つ一つの山がとても大きく、圧倒されっぱなし。

雲一つない快晴の悪沢岳(東岳)

(雲一つない快晴の悪沢岳(東岳))

すれ違う登山者数も少なく、静かな山歩きが楽しめました。

登山をするときにまわりをよく見てみると、あちらこちらにシカの痕跡があることをご存じでしょうか。シカそのものに出会うこともあれば、シカの通った痕、フン、樹皮はぎや植物を引きちぎって食べた痕が見られることもあります。荒川岳周辺ではシカの足跡や食痕が見られます。

シカの足跡が見られる丸山(3,032m)付近

(丸山(3,032m)付近で見られるシカの足跡)

矢印の箇所をさらにズームしてみると・・・

ズームしてみるとシカの足跡が・・・!

シカの足跡が・・・!

昔の南アルプスでは、ニホンジカは見られなかったのですが、平成10年ごろから急激に増加。そして、稜線や登山道付近にも現れるようになり、植生や景観に深刻な影響を及ぼしています。この問題に対応するために、国、県、市町村、NPOが協力し、北岳、仙丈ヶ岳、三伏峠、荒川岳、聖平、茶臼岳など南アルプス各地に防鹿柵を設置しています。防鹿柵のおかげで、少しずつ植生が回復してきている箇所もありますが、失われる前に比べるとまだまだ・・・。自然のバランスが1度崩れてしまうと、元の状態までに回復するのには長い時間が必要になります。じっくり時間をかけて、いつか素晴らしいお花畑が見ることができるようになることを願います。

今回作業をした柵はこちらです。真ん中にある扉は、防鹿柵のゲートです。

荒川三山の登山道上に設置されている防鹿柵

(荒川三山登山道上に設置されている防鹿柵及びゲート)

防鹿柵の範囲に登山道の一部が含まれているため、通行のためにゲートを設置しています。

この扉を閉め忘れてしまうと、柵の中にシカが入って植物を食べてしまう可能性があります。シカから高山植物を守るためにも、「開けたら閉める」の徹底にぜひご協力をお願いします。

【登山されるみなさんへ】
この時期の南アルプスは冷え込みが激しくなってきます。氷点下の朝もあるので、防寒対策をしっかりして登山してくださいね。また、日没も早くなっています。一例として、北岳の日の入りは7月17日には19:13ですが、10月17日には17:19と、ぐっと早くなります。暗くなってからの行動は多くの危険が伴いますので、必ずヘッドライトを持ってください(予備電池も忘れずに!)。遅くなってからの小屋やテントサイトへの到着は、すでに就寝している他の登山者や小屋の方にも迷惑をかけることになるので、早めの到着を心がけるようお願いします。登山口への到着が遅くなったときは、無理に登らず朝を待つなどして、計画を変更することも大切です。