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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

南アルプスニホンジカ対策ワーキンググループ会議が行われました。

2018年03月22日
南アルプス国立公園

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

39日(金)、南アルプス市で「南アルプス自然環境保全活用連携協議会 ニホンジカ対策ワーキンググループ会議」が開催され、関係市町村、県、国、研究機関、地権者等を交えて南アルプス国立公園とその周辺のニホンジカ対策に関する意見交換が行われました。

会議のようす

(会議のようす)

南アルプスの高山帯では、1990年代頃からニホンジカによる影響が見られるようになりました。

ニホンジカによる食痕  樹皮が剥がされた木

(ニホンジカによる食痕)             (樹皮が剥がされた木)

南アルプスでは、お花畑をはじめとする高山の生態系を保全するために、高山植物に悪影響を与えるニホンジカへの対策が実施されています。国や県、市町村が役割分担しながら、モニタリング、植生保護、シカ捕獲、技術開発・普及啓発等に取り組んできました。この会議は、各機関で情報を共有することによって、効率的・効果的な取り組みを実施するために開催されています。

南アルプス周辺におけるニホンジカ対策の流れは以下のようになっています。

ニホンジカ対策ワーキンググループに至るまでの経緯と南アルプスニホンジカ対策方針の経緯

(ニホンジカ対策ワーキンググループ設置及び南アルプスニホンジカ対策方針策定の経緯)

現在、南アルプス周辺で実施されているニホンジカ対策は、南アルプスニホンジカ対策方針のもとに位置づけられています。ニホンジカ対策方針は平成29年5月に南アルプス自然環境保全活用連携協議会(南アルプスユネスコエコパークの管理運営組織)において策定され、ニホンジカ対策ワーキンググループにおいて情報共有、方針の更新が行われます。

今回の会議では、関連機関の事業報告に加え、すれジカ対策、植生保護のあり方、ジビエ活用等についても意見交換が行われました。また、アドバイザーとして招いた専門家から、北岳周辺のニホンジカ出現傾向と植生への影響、ニホンジカの行動特性等についてお話しいただきました。気温の上昇によって高山帯にニホンジカが住めるようになってしまった今、お花畑を守るためには、ニホンジカを柵によって閉め出すか、数を減らしていかなければいけないことに改めて気づかされました。

環境省の取り組み1:伏工(環境の改善)  環境省の取り組み2:防鹿柵(ニホンジカの防除)

(環境省の取り組み1:伏工(環境の改善))  (環境省の取り組み2:防鹿柵(ニホンジカの防除))

このワーキンググループ会議を通して情報共有をすすめ、今後の南アルプスにおけるニホンジカ対策の改善を図っていきたいと考えています。

高山のニホンジカ問題は遠くの問題としてとらえられがちですが、人のくらす町が里山、そして高山へつながっているように、ニホンジカも農村から低山、そして高山へと広がっていきます。ニホンジカによって植生が失われると、貴重で脆弱な高山の生態系が劣化するだけでなく、やがては土壌侵食や災害リスクの増大等にもつながります。皆さんも、ニホンジカを見かけたとき、山に登ったとき、ふとしたときに南アルプスのお花畑とニホンジカを思い出してみてください。