アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
白峰(しらね)三兄弟を紹介します!
2018年04月24日みなさん、こんにちは。
南アルプス自然保護官事務所の本堂です。
暖かい日が続き、事務所のある芦安ではやまぶきが満開です!
冬の間は葉を落としていた木々も新緑でさわやかに色づき始めています。
(鮮やかな黄色に輝くやまぶき)
春が深まる中、夜叉神峠へ巡視に行ってきました。
この日はとても天気が良く、標高約1800m地点でも暖かさよりも暑さを感じました。
登山口や夜叉神峠周辺に雪はありませんが、白峰三山にはまだたくさんの雪が残っていました!
山の麓は春が訪れていますが、高山はまだまだ冬ですね。
(夜叉神峠から見た雪が残る白峰三山(しらねさんざん))
今回はこの夜叉神峠から見ることができる白峰三山をみなさんに紹介したいと思います。
△北岳
白峰三山の中でもひときわ目立つ北岳は富士山に次ぐ日本高峰第2位(標高:3,193m)です。キタダケソウをはじめ、キタダケトリカブト、キタダケキンポウゲなど世界中で北岳にしかない高山植物が数多く存在します。北岳の東面は標高差約600mの「バットレス」と呼ばれる岩登り対象になっている大岩壁がそびえたっています。この写真の北岳中心部がそのバットレスです。岩場でごつごつしているので積雪の時期でもバットレスには積もりません。登山のハイシーズンになるとたくさんの登山客で賑わいます。
△間ノ岳(あいのだけ)
間ノ岳に残るカール地形は「細沢カール」と呼ばれています。カール(圏谷)とは、氷河によって山頂付近が削られてできたもので、スプーンで削ったように丸みを帯びたゆるやかな地形のことを言います。このカール地形は間ノ岳のほかに南アルプスでは仙丈ヶ岳や荒川岳で見ることができます。あまり多くの方に知られていませんが、間ノ岳は日本で3番目に高い山です。平成26年4月、国土地理院が日本の山岳標高を改定し、このときに間ノ岳は3,189mから3,190mとなり、奥穂高岳と並んで日本で3番目の標高になりました。南アルプスでは現在も隆起が続いているので、ゆくゆく間ノ岳はもっと高くなっていくかもしれませんね。
△農鳥岳(のうとりだけ)
農鳥岳は西農鳥岳と農鳥岳の2つのピークが存在します。三角点は農鳥岳に存在しますが、西農鳥岳のほうが高く、標高が3,051mあります。(農鳥岳は3,026m。)農鳥岳の名は、この山の東面の谷に現れる雪形に由来していると言われています。6月中旬に、首を南に向けた白鳥の姿が甲府盆地から望見され、これを見て農家さんは田植えを始めたそうです。わたしはまだ白鳥の姿を見たことがないので、今年は注目してみたいと思います!
初夏になると数多くの高山植物が咲き魅力いっぱいの場所ですが、冬・春の時期にしか見ることができない雪がついた白峰三山はいつ見ても綺麗で山容大きさに圧倒されます。夜叉神峠登山口から約1時間でこの素晴らしい景色を見ることができます。休日やゴールデンウイークに計画されてみてはいかがでしょうか。