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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

【活動報告】子どもパークレンジャー@神津島

2019年02月06日
伊豆諸島 椋本 真里奈

120日、神津島にて子どもパークレンジャーイベント「黒曜石をお菓子で学ぼう。」が開催されました。

「子どもパークレンジャー」とは、自然保護の大切さや自然との付き合い方など豊かな人間性を育むことを目的として、環境省レンジャーと一緒に自然観察や自然解説による自然環境学習などを小・中学生に体験してもらうプログラムです。

詳しくはこちら>>> https://www.env.go.jp/kids/gokan/jpr/about/index.html

今回のテーマは、「黒曜石(こくようせき)」。

神津島は、日本有数の黒曜石の産地です。

火山岩の一種である黒曜石は半透明な黒色で、割れ口がガラスのように鋭いため矢じりなどの石器の材料にされていました。

神津島産の黒曜石が旧石器時代(約38000年前)に静岡県へ流入していることが確認されており、これは世界最古級だと言われています。

神津島・砂糠山(さぬかやま)の黒曜石の層

島の宝のひとつである黒曜石について学ぶ前に、まずは環境省下田管理官事務所の中田レンジャーが、国立公園についてお話ししました。

「国が遊具を建てた公園のことじゃなかったんだね」との声もありました。

国立公園とは「日本の代表とも言える傑出した自然の風景地」であり、自分たちの住む神津島がそれにふさわしいと認められた場所だということ、気付いてもらえたのではないでしょうか。

みんなで地図を広げて、日本の国立公園の場所と数を確認します。

次の講師はジオガシ旅行団(https://www.geogashi.com/)の鈴木美智子先生です。

当団体はお菓子を通じて大地(ジオ)に親しむ機会を提供する社会活動を行っており、その一環として「風景を切り取ってお菓子にする」ことでその地形が持つストーリーを楽しく学ぶ「ジオガシキッチン教室」を全国各地で開催しております。

今回イベントでは、黒曜石について出前教室をしていただきました。

座学で黒曜石について学んだ後、黒曜石そっくりのキャンディーを作りながら内容をおさらいします。

飴は黒曜石の性質によく似ていて、再現するのにうってつけだそうです。

まずはフライパンで砂糖をじっくり熱し、ドロドロに溶けたら竹炭の粉末を混ぜて黒い色を付けます。

ムラのないよう、よく混ぜて・・・

型に流し込んで冷やし固めます。

黒曜石は、粘性の高いマグマが高温高圧の状態から急速に冷やされてできたものです。これはマグマが黒曜石に変身している段階なんですね。

冷え固まってできた黒曜石の板を、古代人の気分で叩いて割ってみました。

打製石器作りを再現です。


さあ、ここで問題です。

できあがった黒曜石キャンディは、AとBのどちらでしょうか??

正解は...

A

Bは本物の黒曜石です。)

黒曜石を割った際に断面が同心円の波紋状になる「貝殻状断口」も綺麗に浮かび上がっています。

(写真には上手に写りませんでしたが)刃物のように薄く鋭く割れた部分は透明に透けており、まるで本物の黒曜石です!

味はもちろん甘く美味しく、座学の内容を楽しくおさらいできました。

参加者の皆さんが持ち帰ったたくさんの黒曜石キャンディーは、イベントのエピソードとともに手渡しで島内の子ども達へと広まっているそうです。

また、今回イベントでは、神津島ネイチャークラブの中村親夫さんが神津島の黒曜石についてお話してくれました。

神津島の属島である恩馳島(おんばせじま)で採れる黒曜石はとても質が良く、当記事の冒頭に写真を載せた砂糠山のものよりも斑晶が少なく真っ黒で、鋭利にきらめいた石器が作れるそうです。石器時代には、今で言うダイヤモンドのような価値があったのだとか!

同じ神津島の中でも場所によって質が変わってくるのですね。

※恩馳島は、カンムリウミスズメの重要な繁殖地として国立公園特別保護地区に指定されており、現在は黒曜石を含む土石の採取は禁止されていますのでご注意下さい。※

伊豆諸島地域では、神津島以外の島でも個性ある地形・地質が見られます。

こういった活動を通して、地域の方々と一緒にその魅力を再発見していきたいと思います!