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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

雪の赤岩滝

2019年03月07日
日光国立公園 太田祐司

みなさんこんにちは!

日光国立公園の太田です。

冬の日光国立公園では、氷瀑の見物がはやりです。

有名な雲竜渓谷では、平日も多くのガイドツアーが行われています。藤本ARが2月22日のAR日記で紹介した庵滝も、多くの見物客が訪れており、スノーシューで歩きまわる雪中のトレッキングというところも人気を呼んでいるようです。

奥日光には、これ以外にも多くの滝がありますが、アプローチの長さ、地形の厳しさや雪崩の恐れなどから、一般的な見物対象にはなっていない様です。ただ中禅寺湖の西の千手が原の奥にある赤岩滝は、インターネットで積雪期の記録をいくつか見ることが出来ます。奥日光の積雪期活動の状況を把握するため、藤本ARと調査に出かけました。

今年の奥日光は寡雪暖冬で、雲竜瀑も2月上旬には融けてしまいました。奥日光は降雪量も少なく、粉雪のラッセルは期待できませんが、この日は夜間の寒気で雪が凍結し締まっており、雪の林道も歩き易い状態となっています。

雪の林道を歩く藤本AR

林道が途切れるところで川を渡りますが、石の上に積雪は見られず、水量も少なく楽に徒渉をすることが出来ました。

川を渡る藤本AR(これは復路の写真)

この先は林道も無く、雪に埋もれた沢を地図と磁石を頼りに歩いて行きます。天候も良く白い雪原が青空に映えて綺麗でした。

徒渉地点の上部で進行方向の沢を見る

しかし急な山肌が迫ってきている箇所では、ところどころで雪崩の跡が確認出来ます。まだ2月ですが、暖かい日が続き積雪量も少ないためか底雪崩が発生しているようです。

急な斜面から出た小規模な雪崩跡

開けた沢を登り詰めて行くと、赤岩滝のかかる沢の出会いがありました。この沢は両岸がせまり側面からの雪崩の跡も見られるので、安全な場所に荷物をデポして身軽になり、滝の偵察や撮影を行うことにしました。無積雪期はナメ滝になっている箇所はほぼ雪の下で、そこを回り込むと、赤岩滝が見えました。

一部融けている赤岩滝氷瀑

残念ながら、一部は融けて水流が見えており、氷も溶け始めているためか、蒼く輝く氷瀑という雰囲気では無く、迫力に欠けますし地形から言っても、夏と違ってそばには寄らない方が良さそうです。時間をかけてやってきた場所ですが、おすすめのコースとはならない場所でした。古いトレースはありましたが、当日の利用者はいませんでした。でも青空から落ちてくるような白い滝は、奥日光の自然の素晴らしさを感じさせてくれる場所でした!

写真で紹介したいずれの場所も、冬山登山に相当する様々なリスクがあります。

相応の装備や技術などを要しますので、責任ある事業者によるガイドツアーに参加して楽しむことをおすすめします。

安易な判断で立ち入ることはおやめください。