アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
美しい花と新緑が眩しい『天城山』
2019年05月22日みなさま、こんにちは!! 沼津管理官事務所の山田です。
今回は、ベストシーズンの『天城山』を紹介したいと思います。
日本百名山の一つである天城山は、伊豆半島最高峰の万三郎岳(1,406m)をはじめ、万二郎岳(1,299m)、遠笠山(1,197m)など伊豆半島のほぼ中心を東西に貫く連山です。東西の山稜部は富士箱根伊豆国立公園に指定されています。ブナやヒメシャラなどの原生林に覆われ、新緑や紅葉の季節はとくに美しい山です。
周辺には川端康成の名作『伊豆の踊子』で有名な泉質のいい温泉(湯ヶ島温泉、古奈温泉、月ヶ瀬温泉、白岩温泉)、渓谷(滑沢渓谷)、滝(浄蓮の滝、萬城の滝、河津七滝)なども楽しめます。また、天城山の年間降水量は4,000㎜超える多雨地帯で、苔や樹木が育つ最適な環境です。天城山の「天城」は「雨木」という語が由来であるとする説があるほどです。
こんな見所いっぱいの天城山ですが、今回は5月中旬から6月初旬ぐらいまで開花ラッシュの花たちの美しさを伝えたいと思います。
【 アマギシャクナゲ 2019.5.17撮影 】
まずは伊豆の固有種である「天城の花の女王」アマギシャクナゲです。大変人気の花で、シーズン時はアマギシャクナゲを目当てにたくさんの登山者が天城山に訪れます。例年の見頃は5月下旬頃から6月中旬です。淡紅紫色~紅紫色の花が満開になるのはこれからですが、キレイに咲き始めています。
天城山にはアマギシャクナゲを堪能できる「シャクナゲコース」と言う登山ルートがあります。
【 天城高原駐車場 ー 万二郎岳 ー 万三郎岳 ー 涸沢分岐点 ー 菅引分岐 ー 四辻 ー 天城高原駐車場 】
所要時間:約5時間程(個人差があります)のコースにたくさんの植物が点在しています。この登山ルートはまた詳しくAR日記で紹介したいと思いますので。お楽しみに!!
※整備予定ですが、登山道が荒れて歩きにくい所がありますので足下に充分気をつけて余裕を持ったスケ ジュールを立てて下さい。
関東の山に多くその名が付いたと言われるトウゴクミツバツツジです。標高の高い山に見られ、開花時期は5月中旬から6月上旬頃ですので、タイミングが合えばアマギシャクナゲと一緒に見ることが出来ます。紅紫色の花は緑の中でとても映え遠くからでも見つける事が出来ます。天城の山を彩り登山の疲れを忘れさせてくれます。
【 アセビ 2019.5.17撮影 】
今回は花期を少し過ぎたはずのアセビも咲いていました。開花時期は2月下旬から5月初旬頃で、枝先に壺形の小花を下向きにたくさんつけます。漢字で書くと「馬酔木」と書き、馬が食べると酔ったようにフラフラとした足取りになることからこの名が付いたと言われています。葉や茎に有毒がありますが、白くて小さい花が風に揺れている姿を見ると可憐でかわいらしく思えてしまいます。
【 ブナの原生林 2019.5.17撮影 】
そして、「森の女王」とも呼ばれるブナの原生林です。新緑が美しく見上げると空一面が緑です。ブナの森を歩くとフカフカしています。豊かな土壌によって雨水をたっぷりと蓄える事が出来「緑のダム(天然のダム)」とも言われています。またブナの果実はリスや動物たちの大好物です。ブナは森を豊かにし、命を育み雄大で美しい姿から「森の女王」と呼ばれているのでしょうね。
木々のこずえに若葉がしげり、森を抜ける風は本当に心地よく、いい季節がやってきました。手つかずの自然と山の空気を肌で感じることが出来ます。ぜひ天城山の美しい花と新緑を見に来て下さい。