アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
仙石原湿原の青草刈り(箱根地域)
2019年06月12日
富士箱根伊豆国立公園
箱根の仙石原湿原で青草刈りをしてきました。
すっかり春の陽気に照らされて湿原の植物はグングンと成長しており、ちょうど梅雨入り直前のタイミングとなり、青草を刈るにはベストな時期でした。
青草刈りは、仙石原湿原の希少な植物(ノハナショウブ、スズサイコ等)の維持管理のために行います。
草刈りをしておかなければ背丈の高い植物に囲われ、日光が届かなくなり希少植物が成長できなくなります。そのためススキやヨシなど背丈の高い植物を選択的に刈って、背丈の低い明るい湿原を維持しています。
青草を刈る際には基本は足下で刈りますが、ノハナショウブがある場合などは傷つけないように地上高50㎝くらいで刈ります。
刈り取った草は一握りを輪ゴムで束ねて、袋に詰め込んでいきます。
刈る対象は、ススキやヨシになります。
作業する際は、花を咲かしていない湿性植物はよーく見ないと誤って刈ってしまうので、少しずつ慎重に草を刈っていきます。
今回は、植物に詳しい専門家などからレクチャーを受けながらの作業を進めました。
またアザミなどが生えていてトゲに手を傷つけることもあります。
現在では刈り払い機などでひとまとめに刈ることはできますが、湿原の植物群落を維持するためには、選択的に刈っていく必要があります。この手法は江戸時代から続く伝統的な管理手法として今でも例年行われているのです。
今年も沢山のススキとヨシが刈り取れました。
地元の沢山の方が関わり仙石原湿原の植生が守られています、苦労の甲斐もあって今年も希少な湿性植物が花を咲かすことができるのだと感じると、とてもやりがいがありますね。
いつまでも変わらない自然美あふれる風景を維持していきたいものです。