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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

火山の生み出した景色 三宅島(伊豆諸島地域)

2019年07月30日
伊豆諸島

こんにちは。伊豆諸島ARの竹下です。

ようやく梅雨が明けて、夏らしい青空がのぞくようになってきましたね!

7月上旬、三宅島へ行ってきました。

三宅島は、東京から南へ180kmの距離に位置する、伊豆諸島の中では大島・八丈島に次いで大きな島です。

島の中央には活火山である雄山がそびえ、約20~60年周期で噴火を繰り返しています。度重なる噴火活動によって生み出された力強い火山景観を、島の至る所で目にすることが出来ます。

三宅島、三七山展望台からの景色。ひょうたん山と赤場暁を一望できる。(2019年7月10日撮影)

「かつては海だった景色」

今から約80年前、左手に見える崖より右側は、海でした。

1940年(昭和15年)、海の中で噴火が起こり、右手に見える火山、「ひょうたん山」が現れたのです。

1940年、1962年と続いた噴火の溶岩流と噴出物は、海を埋め尽くし、左手の崖と「ひょうたん山」の間には、平らな溶岩台地、「赤場暁(あかばっきょう)」ができました。

赤場暁を流れた溶岩の先端部分。赤い断崖になっている。(2019年7月10日)

「赤い断崖」

「赤場暁」バス停から徒歩10分ほどで、海岸へ出ると、赤場暁を流れた溶岩の先端を見ることができます。

波に削られて、迫力のある断崖になっています!!

黒いスコリアで形作られているひょうたん山(2019年7月10日撮影)

「ひょうたん山」

「赤場暁」バス停から海岸へ至るコース上では、「ひょうたん山」の火口も間近に見ることが出来ます。

遠くから見ると大きな火口に見えますが、近づいてみると、意外と高低差が小さいので、すぐに火口の縁まで登っていけます。

ひょうたん山の上からは、植生の遷移によって緑に覆われつつある赤場暁の広がりを眺めることができます。

「ひょうたん山」と「赤場暁」の景色(「かつて海だった景色」)は、都道沿いの「三七山展望台」から眺めることが出来ます。

当時の風景を想像しながら地形を眺めてみると、火山の圧倒的なパワーを感じます...。


大路池北側桟橋からの景色。池の周囲はスダジイの原生林に覆われている。(2019年7月10日撮影)

「野鳥の楽園 大路池」

三宅島は、バードアイランドとしても有名です。

国の天然記念物「アカコッコ」やイイジマムシクイ、カラスバトなど、限られた地域でしか見られない野鳥を観察できます。

特に、「大路池」の周囲を巡る道は「日本一のさえずりの小径」とも呼ばれていて、バードウォッチャーに人気のスポットです。スダジイの原生林に囲まれた静かな場所で、小径を歩くと、あちこちから溢れるように小鳥の声が聞こえます。

この「大路池」、伊豆諸島では最大級の淡水湖で、

紀元前2000年以前に水蒸気爆発によってできた火口湖ということです。

大路池の畔に立つスダジイの巨木(2019年7月10日撮影)

「迷子椎」

池の畔には、「迷子椎」と呼ばれるスダジイの巨木が立っています。

数百年前から、噴火を司る神様の宿るご神木とされてきました。

密林の中でも、この巨木を目印にすれば迷子にならないという言い伝えから、「迷子椎」と呼ばれるようになったそうです。

今回は陸を中心に紹介しましたが、三宅島は海のレジャーでも人気のある場所です。

周囲の海域には黒潮が流れていて、魚影が濃く、種類も豊富ということで、ダイビングや釣りのスポットにもなっているようです。

火山景観などの見所も、まだまだ沢山あります!

皆さんもぜひ一度、三宅島に遊びに行ってみてください!

三宅島ジオマップ(★の部分が今回紹介した場所です)

「三宅島ジオマップ」発行:三宅村役場観光産業課 協力:三宅島観光協会

(★が今回紹介した場所です)

【三宅島へのアクセス】

○船の場合

・東京竹芝港22:30発→大型客船(約6時間半)→三宅島5:00着

・三宅島13:35発→大型客船(約6時間10分)→東京竹芝港19:45着

東海汽船ホームページ https://www.tokaikisen.co.jp/

○飛行機の場合

・調布飛行場⇔小型機(約50分)⇔三宅島空港 (1日3便就航)

 新中央航空ホームページ https://www.central-air.co.jp/

【三宅島 島内の観光情報】

・三宅島観光協会 https://www.miyakejima.gr.jp/access/