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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

子どもパークレンジャー『母島の夜の世界を覗くんジャー!!』開催

2019年11月08日
小笠原国立公園 和田慎一郎

内地はすっかり寒くなってきた頃でしょうか?

小笠原もだいぶ涼しくなってきましたが、島っ子たちはまだまだ元気に海で泳いでいます。

そんな暑さの残る1019日、母島でこどもパークレンジャーを開催しました。

昨年度の「こどもパークレンジャーin母島」は日中に活動しましたが、タイトルどおり今回は夜に開催し、

夜行性の昆虫など、普段あまり目にすることのない生き物を観察してもらいました。

かつて小笠原には多くの固有昆虫がいましたが、様々な原因により数を減らしています。

考えられる原因の中には、昆虫を食べてしまう外来トカゲのグリーンアノールの影響も少なくないと考えられています。しかし、グリーンアノールは主に昼間に活動するので、夜の虫たちはそれほど影響を受けていないはずです。そこで、外来種の影響で固有種が見られないと思っている子どもたちを夜の世界に誘おう!というのがこの企画。虫以外にも、涼しい夜に活発に動くカタツムリや寝ている鳥なんかも見られるかも?!そんな期待を胸に、29人のこどもパークレンジャーが集結してくれました!

場所は、母島の集落から都道を3kmほど南下したところに位置する「南崎」。

島の南端まで歩くことができ、観光だけでなく島民も釣りなどで利用する人気スポットです。

しかし遊歩道はもちろん、駐車場にすら街灯がない真っ暗闇。

そんな中で懐中電灯だけを頼りに生きものを見つけ出すのは至難の業でしょう。

そこで、光や匂いに集まる習性を利用したトラップを仕掛け、引き寄せられた虫たちを観察しました。

 光で虫たちを誘い込むライトトラップ。どんな虫が寄ってきたかな?(虫の先生が解説:左)

寄ってきた虫のほとんどは蛾の仲間でしたが、蛾だからといって侮るなかれ!小笠原で記録されている

約200種の蛾のうち、およそ20%は固有種とされています。今回観察できた蛾の中にもたくさんの

固有種がいました。他にもウスバカゲロウの仲間やカミキリの仲間、ゾウムシの仲間もやってきました。

それらをちょっとだけ捕まえて、ケースに入れてよく観察。

 クロシオノメイガ。地味だけど固有種です

 よーく観察して特徴をメモしよう!

 班で選んだイチオシの虫をみんなに紹介

蛾の仲間でも種類によって翅の形や模様が様々だったり、同じ種類でもオスとメスで触覚の形が違ったりと、子どもたちの鋭い観察眼に虫の先生も驚きを隠せないようでした。

他にも、探検中に懐中電灯を消して耳を澄ませてみたり、葉っぱの下から出てきたカタツムリを見つけたりと、夜の森の雰囲気を存分に味わいました。

 最後にみんなで記念撮影

暗い中での活動ということで、安全対策などこれまで以上に準備や注意を要するイベントでしたが、

ケガや事故もなく終了。レアな体験に子どもたちも大興奮でした。

これからも、小笠原の貴重な自然をもっと身近に感じてもらえるようなイベントを企画していきたいですね。