アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
【小笠原】近自然工法による遊歩道整備
2020年02月10日皆さん、こんにちは。
小笠原自然保護官事務所の齋藤です。
今回は「近自然工法による遊歩道整備」についてご紹介します。
【小笠原における近自然工法】
2014年より村が主体となり、北海道大雪山から「合同会社 北海道山岳整備」の皆様をお呼びし、千尋岩(ハートロック)の遊歩道整備や、桑の木山の遊歩道整備が行われています。
今回こちらの活動に参加しまして、近自然工法を学んできました。
北海道山岳整備では、近自然工法を、"自然界の構造を理解し、自然に近づける方法"と定義しています。
今回の作業では、小笠原特有の傾斜、滑りやすい赤土粘土に対して、重力のかかる方向を意識しながら、
つまり滑りにくい工夫をしながら、外来樹のモクマオウ、石を利用して整備を行いました。
【桑の木山 遊歩道整備】
整備箇所は二カ所。主に木材を利用する箇所と石材を利用する箇所です。
(ちなみに、木材は事前に別の場所にて、適したサイズの外来樹を見つけて切り倒し用意します 。石材は整備周辺箇所のものを活用します。)
▲木材利用の整備ポイント Before
木を置いたものの、まだ歩き辛い道です。
ここから手前の木材を安定させる為に、他木材と石を使い、ある仕上げを施します。
▲木材利用の整備ポイント After
先程の木材(この写真の中央の木材)に、上部を木材で支え、下方を石で支えています。
支えている木材は自立する木の根に、石は下方の木にも支えられているため、丈夫です。
仕上げとして、隙間に小石や土を入れて完成!歩きやすそうです。
▲石材利用の整備ポイント Before
通行箇所が小さくなだれてしまっています。ここに道を作ります。
▲石材利用の整備ポイント After
石を大中小、重力がかかる方向が中央に集まるように噛み合わせます。
こちらも仕上げに、小石と土を使いました。時間が経つほど隙間に小石や土が入り込み、
丈夫になります。
【整備中のポイント】
少し離れて見て、自然の中の風景に馴染んでいるか、格好良いかをチェックします。
これが人工物に目が慣れている私達には難しく、どうしても綺麗に作ろうとしてしまいますが、
自然の中に整然とされた風景はなく、頭で考えるより感性を使って整備する方が良いようです。
活動を通して、目の前で自然物を利用して道ができあがる様は、
「道が出来た」ではなく「道が治った!」というような感動を覚えました。
皆様にもその感動を味わって頂きたく、山岳整備様より、
今回の活動をまとめた動画を頂戴しました。
是非それぞれのBefore、Afterと、作業風景をご覧下さい。
Youtube <https://www.youtube.com/watch?v=yTarnvAkgEs>
是非広がってほしい技術なので"近自然工法"、このような整備や補修方法があるということを、
皆様も是非ご記憶下さいね!
以上