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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

#STAYHOME 火山荒原に咲く春の花 大島 伊豆諸島地域

2020年05月01日
富士箱根伊豆国立公園

こんにちは。伊豆諸島管理官事務所の竹下です。

あっという間に4月も過ぎ、暖かい日も増えてきましたね。

4月中旬の三原山では、溶岩流や火山礫の隙間のあちこちで、スミレやリンドウが咲いていました。

荒涼とした風景の中で咲く小さな花を見つけると、あまりのかわいらしさに思わず笑顔になります。

今回は、火山荒原に咲く小さな春の花の写真をお届けします。

フデリンドウの花。花弁の青色と花粉の黄色が鮮やかで美しい。

▲フデリンドウ

ススキなどの株の中や陰に咲いています。

黒、茶、緑の景色の中で鮮やかな青い花がぱっと目を引きます。

コケリンドウの花。淡い水色の小さな花。

▲コケリンドウ

火山礫の隙間に顔を出していることが多く、狭い範囲に群生していることもあります。

花の大きさは1cmほどで、淡い水色のかわいい花です。

シチトウスミレの花。花弁は薄い青紫色。

▲シチトウスミレ

本州に分布するタチツボスミレが伊豆諸島に渡り、島の環境に適応した、島嶼変異型と呼ばれるタイプです。

一般的なタチツボスミレと比べて葉が厚く、大きいと言われています。

葉はハート型、花は淡い青紫です。

アツバスミレの花。三原山では濃い紫色のタイプが多かった。

▲アツバスミレ

スミレが海岸に適応したもので、伊豆諸島、小笠原諸島、太平洋岸にも分布しています。

矢印のような形の葉が特徴的です。

三原山のカルデラ内では、花の色が濃い紫のタイプが多く見られました。

溶岩に覆われた三原山内輪山の斜面。溶岩の隙間には先駆植物であるススキやイタドリなどが生えている。

▲三原山中央火口の西側斜面。斜面を覆う溶岩流の隙間にはススキなどが生えている。

中央火口丘の周りは、百数十年周期で繰り返し噴き出す溶岩流や火山礫の影響を受け続けています。土には養分が無く、乾燥していて、日差しや風も強く、植物にとっては厳しい環境です。こうした環境では、厳しい条件で生き抜く戦略を持ったススキやイタドリ、ヤシャブシなどの植物(先駆植物)が最初に芽を出して育ちます。

初めて三原山を歩いた時は、カルデラ内には先駆植物だけが生育しているというイメージを持っていたので、スミレやリンドウなどの可憐な花が咲いているのを見て驚いたことを覚えています。

先駆植物の周りでは、植物の死骸が養分になる、強い日差しや風が少しさえぎられる、種子や花粉を運ぶ鳥や虫が行き来するようになる、などの環境変化が生まれ、スミレやリンドウなどの植物が入りやすくなるのかもしれません。

【ご注意ください】

伊豆諸島では新型コロナウイルス感染拡大への対応のため、すべての島で観光施設などを閉鎖し、来島の自粛を強く呼びかけています(430日時点)。観光産業の盛んな伊豆諸島地域としては、とても苦しい状況での呼びかけですが、伊豆諸島で暮らす人々を守るために、今は来島をお控えくださるようお願いします。

#STAYHOMEについて】

信越自然環境事務所から動き出した「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に賛同して、今回より、ハッシュタグ#STAYHOMEをつけて投稿しています。

現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛により、一般の方に国立公園を訪れていただくことができない状況が続いています。このプロジェクトは、国立公園への来訪を楽しみにされていた方、収束後には国立公園を楽しみたい!という方へ向けて国立公園の魅力をインターネット上で発信し、自宅で国立公園を楽しんでいただこうというものです。

当日記でも、大島の自然の風景をおうちで楽しんでいただけるよう、発信を続けていきたいと思っています。

#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」

http://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2020/stayhome.html