ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年6月18日

2件の記事があります。

2020年06月18日奥日光に「初夏」が来た!!

日光国立公園 日光 大森健男

 皆様こんにちは!日光のアクティブレンジャーの大森です。

 ようやく奥日光もミズナラの新緑とエゾハルゼミの大合唱の時期となりました。

 奥日光の中禅寺湖畔の様子についてお伝えします。

 中禅寺湖の西方に周囲約1.5kmの小さな湖「西ノ湖」があります。かつては中禅寺湖の一部でしたが、長い年月を経て、切り離された遺留湖(いりゅうこ)です。

 流入する大きな川がなく、季節によって水位の変化が大きい湖です。このため湖畔にはヤチダモの林がみられます。

「西ノ湖とヤチダモ 静かな神秘的な湖です!ハルニレやミズナラの巨木林も見られます。」

 西ノ湖から千手ヶ浜方面へ足を運ぶと、平坦な湖畔沿いの道には、ミズナラの林が続き、森の中は、エゾハルゼミの鳴き声が響いています。

「明るいミズナラの林」 

 林床は、ニホンジカの不嗜好植物のマルバダケブキが一面に広がっています。

 お気づきかもしれませんが、先ほどの西ノ湖の写真でも下層植生が衰退しています。

 奥日光では、シカの食害や湿原などの貴重な植生を保全するため、平成13年に戦場ヶ原など国立公園特別保護地区を含む面積980ha、総延長約17kmのシカ侵入防止柵を設置しています。

 ニホンジカによる被害などの状況については、別の機会に報告いたしますが、シカによる森林植生の破壊が深刻となってきています。

 湖畔の様子の続きですが・・森を抜けると、抜けるような空と湖が現れます。

「中禅寺湖千手ヶ浜より北岸・男体山のながめ」

 「千手ヶ浜のクリンソウ」

 千手ヶ浜ではクリンソウの群落が広がります。写真は先週の様子ですがちょうど見頃でした。

 例年ですと多くの方が訪れる人気スポットですが、現在は西ノ湖・千手ヶ浜方面への赤沼からの低公害バスが運休中です。

 また、中禅寺湖周回線歩道の北岸の工事も行われており、通行止めとなっています。

 こちらの方面へのアクセス情報にはご注意願います。

 

  「戦場ヶ原 ワタスゲとズミ」

 本年は、ズミやワタスゲの当たり年?だったそうで、今はズミの見頃は過ぎてしまいましたが、これからはワタスゲとレンゲツツジの白とオレンジ色の共演が見られます。

 これからの季節、自然の移り変わりが楽しみな奥日光です。

 日光湯元ビジターセンターも6月1日より開館となりましたが、今後の状況により、変更することもありますのでご注意願います。

 また、昨年の台風等の被害でところどころ歩道の通行止め箇所があります。

 奥日光にお越しの際は、関係HP等でご確認をお願いします。

○奥日光の歩道の状況について

・日光湯元ビジターセンターHP http://www.nikkoyumoto-vc.com/

○中禅寺湖周回線歩道の状況について

・栃木県県西環境森林事務所HP

               http://www.pref.tochigi.lg.jp/d51/documents/syuukaisenn.pdf

○低公害バスの運行について 

・日光自然博物館HP      https://www.nikko-nsm.co.jp/

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2020年06月18日静かな北沢峠での出会い

南アルプス国立公園 南アルプス 本堂舞華

みなさん、こんにちは。

南アルプス自然保護官事務所の本堂です。

6月上旬に長野県伊那市を経由で北沢峠周辺の現地確認に行ってきました。下界は30度前後でとても暑かったようですが、標高2,000mほどある北沢峠はなんと16度!とても快適でした。

林道を車で走っていると、ある動物に出会いました。

立ち止まってこっちを見ている子

こちらに気づいて一生懸命逃げている子

人がいても逃げることなく、毛づくろいをしている子

多くの方がなんの動物なのかお分かりかと思いますが、ニホンジカです。今年は積雪量が少なく、林道バスが運休していて人の出入りがないことから、ニホンジカにとっては楽園のような状態になっています。ニホンジカ対策に取り組んでいる関係機関のデータによると、6月上旬くらいに仙丈ヶ岳の標高2,500m地点のあたりまで登っている個体がいるようです。6月下旬に仙丈ヶ岳の防鹿柵の立上げ作業を行いますが、高山植物が食害に遭っていないことを心から祈ります。

今回はニホンジカとの遭遇が多かったですが、他にもこんなステキな出会いがありました。

【コミヤマカタバミ】

コミヤマカタバミは花びらに脈が帯び、人間の血管のように見えます。小葉は夜になると閉じて、睡眠運動をします。花びらに人間のような血管模様があって睡眠運動する。・・・勝手に親近感を感じています。ちょこんと足元に咲いていることが多いので、踏んでしまわないように気を付けなければなりません。

【ザゼンソウ】

ザゼンソウと聞くと、尾瀬などの湿原で見られるイメージがあり、南アルプスでは見ることができないだろうといつも諦めていたのですが、なんと!見ることができました!生まれて初めて見るザゼンソウ。感動しました。ザゼンソウは座禅を組んだ僧の姿に見えることが由来になっています。そういわれると、そう見えてきますね。

今年度の北沢峠周辺ではバスが運休、山小屋が休業になり、各市町村から入山自粛が求められています。元気に咲いている高山植物をみなさんに現地で見ていただくことができず、とても残念ですが、このアクティブ・レンジャー日記を通して、現地の様子をお伝えしていきたいと思っています。

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