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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

黄色い絨毯と天の川「南伊豆町 ユウスゲ公園」

2020年07月07日
下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。

地元のこどもたちが書いた短冊に、「みんなの願いが叶いますように」、「織姫と彦星が会えますように」といった素敵な願い事を見つけた齋田です。

ちなみに、私の幼少時代はというと、「七夕ゼリーのじゃんけんにぜったい勝つ!」でした。

さて、こどもたちの願いによって織姫と彦星が夜空で再会を果たすころ、伊豆半島の奥石廊では早くもあの花が咲き始めました。

【ユウスゲ(2020.06.29撮影)】

みなさんご存じ、昨年の日記にて「真夏の日差しが大嫌いな変わった花」としてご紹介したユウスゲです。

この可憐な花に出会えるのは、石廊崎周辺の海岸線を一望できる小高い丘に位置するユウスゲ公園。

ユウスゲは、太陽が傾くころに開花し翌朝にはつぼんでしまうワスレグサ属の一日花で、富士箱根伊豆国立公園の指定植物の一つに指定されています。

【奥石廊の池の原一帯に群生するユウスゲ(2019.07.23撮影)】

こちらの写真は、昨年の最盛期、7月下旬に撮影したユウスゲ群落。

西日に煌めく太平洋の碧を背に、草木の緑に包まれた可愛らしい黄色い花弁が磯風に揺れ動く様子は、言葉ではとても言い表すことの出来ない程に情緒的でした。

さてさて、ここまでは昨年の日記でもご紹介した内容ですが、こちらはユウスゲ公園の昼の姿。

今回の日記では、夕方から深夜にかけて楽しめるユウスゲ公園の見どころをいくつかご紹介します!

ユウスゲの花を存分に堪能した後には、崖を打つ波の音や磯風のやわらかさを感じながら、沈みゆく夕陽をのんびりと眺めるのがおすすめです。

【ユウスゲ公園から眺める夕陽(2019.11.29撮影)】

こちらの写真は、昨年の11月下旬に、ユウスゲ群落の写真とは違った画角で撮影した夕陽。

ユウスゲの最盛期である7月下旬から8月中旬には、ユウスゲが群生する斜面と太陽が地平線に沈む方角が重なり合い、辺り一面に幻想的な雰囲気を醸し出します。

なかでも、黄昏時に見られる、黄色と緑の絨毯が燃えるような夕映えにゆっくりと包まれていく光景は、この世の終わりを思わせる程の美しさです。是非ご自身の目でご観賞いただければと思います。

夜のお楽しみは天体観測です。実はユウスゲ公園は伊豆半島有数の星空スポットとしても知られています。

小高い丘の周囲には光害が一切なく、太陽が完全に寝静まった新月の夜には、まるで宝石箱をひっくり返したような満点の星空が楽しめます。

一番の見どころは、白く流れる天の川。ユウスゲの季節には一年で最もはっきりと観察することができます。

天の川が見えてくれば、織り姫星(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)もきっとすぐに見つかることでしょう。この二つの星のすぐ近くに光るカササギの橋(はくちょう座のデネブ)をつなげば夏の大三角のできあがり。

あまりの星の多さになかなか見つけることのできない方は、7月であれば23時頃、8月であれば21時頃に真上に見える一番明るい星が織り姫星(こと座のベガ)と覚えておくとよいかと思います。

伊豆半島の奥石廊でみられるユウスゲの見頃は、7月下旬から8月中旬です。

ユウスゲが開花を始める16時頃には例年多くの見物客で賑わいますが、夏のユウスゲ公園では1日を通して素晴らしい景色が楽しめます。少しでも混みあう場合は時間をずらしての散策がおすすめですよ。

咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めながら、伊豆半島の豊かな自然を存分に満喫しましょう!