アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
白糸の滝と富士山
2020年08月03日皆様はじめまして。5月より沼津管理官事務所に着任しました、義高と申します。山形より富士箱根伊豆国立公園にやって参りました。着任よりはや三ヶ月。静岡の暖かな気候と、雄大な富士山のおかげでとても充実した日々を過ごしています。
私がこの度取り上げさせて頂くのは、マイナスイオンの降り注ぐ夏に涼しげなスポット、白糸の滝です。静岡県富士宮市にある白糸の滝は富士山の世界文化遺産の構成資産のひとつとなっています。
白糸の滝はその殆どが富士山の湧水であるという驚きの特徴を持っています。実は富士宮市や富士山麓エリアは湧水がとても豊富なのです。それは富士山の溶岩地層が雨水を吸収し、長い時間をかけて濾過するためです。いわば富士山が大きなスポンジとフィルターの役割を果たしているわけですね。白糸の滝はそんな富士山のメカニズムによって生み出された自然現象の一つです。実際に目にすれば、信じられないほど透き通った湧水に思わず息を飲む筈ですよ!
白糸の滝、正面
お鬢水
見ているだけで涼しい気分になってきますね。
さて、白糸の滝はその美しさから多くの人に親しまれています。しかし、美しさだけでなく、富士信仰に纏わる由緒正しい歴史も持っているのです。
富士山は霊山として古くから崇められてきました。だからこそ数々の富士信仰が発展し、浅間大社を代表とする神社などが設けられました。確かに、遠くに富士山が見えたら有り難い気持ちになりますものね。そんな富士信仰の中でも、江戸時代より一大ムーブメントを起こした富士講。白糸の滝はその修行場としても利用されました。富士講の開祖である長谷川角行をはじめ、様々な人々がこの地で修行を行い、富士山への信仰をより強固なものにしました。そんな経緯を知っていると、滝を見る目が少し変わってくると思います。
さらに近年、白糸の滝は景観や利便性といった側面で進歩がありました。静岡県が推進する無電柱化計画により、周辺地域では電線が地中に埋設され、すっきりとした青空と富士山を眺望できるようになりました。観光案内所や公衆トイレ、お店もリニューアル&バリアフリー化したことにより、美しく、多くの人にとって利用し易い園地となっています。
観光案内所とお土産店
新型コロナウイルスが依然として流行している昨今。白糸の滝を訪れる際は、感染予防をしっかりされた上でお楽しみ頂きますようお願いします。