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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

箱根のナラ枯れ

2020年10月01日
富士箱根伊豆国立公園

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

10月に入って、秋の気配が強まってきました。各所でススキが黄金色の美しい穂を風になびかせています。仙石原のススキ草原も、まもなく見頃を迎えるでしょう。そんな良い季節ではありますが、今回は箱根の山に起きている悲しい出来事について報告します。それが「ナラ枯れ」です。

2020年9月の箱根(紅葉ではありません)】

日本各地で長く問題となってきたこの現象。神奈川県では近年大変問題視されており、箱根も今年は目立って増えています。原因は「カシノナガキクイムシ」という昆虫が運ぶ、ナラ菌による樹木の枯死です。箱根のナラ枯れは初めて観察されてから今年で4年目になり、特にコナラ・ミズナラなどドングリの実る樹木に被害が多く発生しています。被害発生が古木に多いことも特徴の一つです。

箱根ビジターセンター周辺でも、この夏、ミズナラの大きな木が突然枯死しました。6月までは元気に青々と茂っていた木が、9月にはあっという間に枯れています。

9月に枯死したミズナラ 幹に小さな穴が多数あり、フラスという木くずと虫の糞が混ざった粉が、根元や幹周りに大量に積もる】

ビジターの皆さんが毎年楽しみにしてきたこの木のドングリは、残念ながら今年からは実りません。

でも、枯れ木の足元にはこんな子がいました。


【ミズナラの実生(幼木)】

大木が倒れた後の森には、日が良く差し込み、幼木たちが急速に成長を始めるのです。箱根で増え始めているニホンジカに食べられることなく、強く成長することを願います。

古くはミズナラの古木は、人が切り倒して薪にし、そこに幼木が育つという、自然のサイクルがあったと言われています。今はその循環がなく、カシノナガキクイムシが人の代わりに古木を倒し、幼木の成長を促しているという考え方や、ナラ枯れは5年から8年ほどをピークに終息するとも言われていますが、詳しいことはまだ分かっていません。

ただ、これ以上枯死が増えて箱根の森が衰退しないように、出来ることを実施しようと箱根町、神奈川県が対策作業に取り組んでいます。これから伐採消毒作業や予防薬投与の作業が始まった際には、作業の様子を静かに見守って頂けると幸いです。また、箱根町では新たにHPを作成し、ナラ枯れについての情報を公開して、被害の情報提供を呼びかけています。是非ご一読下さい。

★箱根町HP「ナラ枯れ被害が広がっています」★ 

http://www.town.hakone.kanagawa.jp/index.cfm/6,21824,23,html

※林野庁や神奈川県のHPも併せてご参照下さい。

【おまけ】

枯れてしまったミズナラの根元には、時折猛毒のキノコ「カエンダケ」が生えることがあります。触るだけで皮膚がただれるので、見つけても絶対に触らないようにお願いします。

【カエンダケ】