アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
伊豆半島のジオサイトを紹介します! 第1弾
2021年01月22日みなさん、こんにちは。外出自粛期間中は撮りためた生き物の写真や図鑑を眺めてやり過ごす齋田です。
特定の時期に特定の場所でしか出会うことができない種類の生き物が多くいますが、今はぐっと我慢です。
さて、みなさんがご自宅で過ごすことの多いこんな時こそ日記を読んで頂くチャンスだと思い、当面の間は「富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト(ジオスポット)」を特集します!
記念すべき第1回目は、前回の日記に取り上げた「環境配慮型ツアーの実証実験」にてコースの経由地点として立ち寄った「弓ヶ浜」と「中木の柱状節理」について、その見どころを解説します。
■弓ヶ浜 (静岡県南伊豆町)
その名の通り、美しい弧を描く弓ヶ浜。海岸線の長さはなんと1,000m!シロナガスクジラ約35頭分です。
この白砂の海岸は、河口から海へと流れ込んだ砂粒が海流によって押し戻され、帯状に堆積することで形成されたと言われています。
このような地形は砂嘴(さし)と呼ばれ、伊豆半島北西部の御浜岬や大瀬崎などでも見られます。
【静岡県南伊豆町 弓ヶ浜】
写真は昨年の6月上旬に撮影した弓ヶ浜。例年であれば、梅雨入り前最後の海を楽しもうと観光客がこぞって押し寄せる時期ですが、ご覧の通り人の気配はほとんどありませんでした。
そんなこともあってか、ここ弓ヶ浜では3年ぶりにアカウミガメの産卵が確認されました。生き物好きの私としては大変嬉しい出来事ではありましたが、豊かな自然の保護と利用はトレードオフであることを見せつけられたようで、複雑な心境でした。
■中木の柱状節理 (静岡県南伊豆町)
スノーケル・ダイビングスポットとして有名な「ヒリゾ浜」への渡し船の発着点として知られる中木海岸。
崖沿いを這うように整備された遊歩道を南へ進むと、なんとも不思議な光景を目にすることができます。
【静岡県南伊豆町 中木の柱状節理】
ハチの巣のように規則的に並ぶ5角形や6角形の奇妙な岩は「柱状節理」と呼ばれ、海底火山の噴出物を貫いて上昇した「火山の根」とマグマが冷えて固まる際に形成されたものと言われています。
写真で見るとサイズ感がややわかりづらいかと思いますが、この多角形の外接円の直径は大人の肩幅ほどもあり、その圧倒的なスケールに感動させられます。自然界で最も大きなハニカム構造なのではないでしょうか?
今回の日記では、富士箱根伊豆国立公園伊豆半島地域で見られるジオサイト、「弓ヶ浜」と「中木の柱状節理」についてご紹介しました。
ジオサイトの多くは、見学者の知識量によって見え方や感じ方が大きく変化しますので、みなさんがいつか伊豆半島に訪れる際の一つの参考になれば嬉しいです。
次回は、「しましま模様」と「ハートの地形」が特徴のジオサイトを解説します。お楽しみに!
※外出の際には、咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めましょう。また、都道府県内の移動においても、各自治体のガイドライン等によく目を通し、責任ある行動を心掛けましょう。