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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

椿とメジロのおはなし 大島(伊豆諸島地域)

2021年03月25日
伊豆諸島 小野可蓮

鳥と花が好き!な小野可蓮と申します。

この度、2月から伊豆諸島管理官事務所で、アクティブレンジャーとして就任いたしました。

どうぞよろしくお願いします。

さて、伊豆大島といえば、何を思い浮かべますか?

やはりこれですよね!

▲ヤブツバキ

大島では、ヤブツバキ林が島のいたるところで見られるほか、椿園などでも楽しむことができます。11月から4月頃に開花します。大島ではとても身近な花です。

ヤブツバキから採れる椿油のことはみなさん御存知だと思います。

髪や肌に塗っても良し。調理油として使っても良し。他にも木製品や刀を磨くのに使えるそうです。

椿の油を採るには椿の実が必要ですよね。椿の実になる前には花が咲きます。

果たして、その椿を、花から実へと変えてくれているのはだれでしょう?

虫でしょうか?

...違います。もう少し大きい生き物です。

正解は... 

見てください!この子達です。可愛いでしょう!


▲シチトウメジロ。伊豆諸島の亜種。本土のメジロより一回り体が大きく嘴も長い。

(令和2年度在任竹下AR撮影)

そう、椿は「鳥媒花」なんです。

受粉の役割を果たすのは虫でなく鳥。

沢山の蜜を与える代わりに遠くまで花粉を運んでもらいます。

そのため、椿もメジロもお互いに頼り合えるように進化を遂げてきました。

このように2種が互いに合わせながら進化を遂げてきたことを「共進化」と呼びます。

では実際に、椿とメジロがそれぞれどのように進化してきたか、見てみましょう!

椿の花はメジロに合わせて進化したことで、赤い色、頑丈な構造、筒状に並ぶ雄しべ、豊富な

蜜量などの特徴を持ちました。

赤い色は鳥にとって見やすい色。筒状に並ぶ雄しべは、嘴を入れた時、メジロの頭に花粉がたくさん付着する役割を果たします。鳥は虫より体が大きいので呼び寄せるには多量の蜜が必要です。


▲ヤブツバキ

一方メジロは椿に合わせ、細長い嘴、軽い体重、蜜の糖を消化できる体、特殊な構造の舌などの進化をしてきました。

細長い嘴は、蜜を吸うのに適した形。体重が軽いので、ぶら下がっても花を壊すことはありません。たくさんの蜜がすくえるように、舌の先はブラシ状の特殊な構造になっています。

▲シチトウメジロとオオシマザクラ(令和2年度在任竹下AR撮影)

このように、私達が椿の恩恵を受けられるのは、鳥達のお陰だったのですね。

ちなみに、椿だけではなく、梅に杏、アロエやハイビスカスも鳥媒花です。

当たり前のように過ごしている私達の日々の生活は、想像以上に自然に支えられているということを再認識させてくれます。これからも、皆で支え合いながら生きていく方法を模索していけたら良いですよね。

次に散歩に出掛けた時は、花びらに鳥の跡が残っていないか確認してみてはいかがでしょうか


伊豆大島では例年、1月から3月にかけて「椿まつり」が開催されますが、今年は新型コロナウイルスの影響でオンラインのみでの開催となりました。

興味のある方はぜひ下のリンクを覗いてみてください。

椿まつりオンライン

https://tsubaki-online.tokyo/index.php/event