アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
【小笠原】希少種を守る一歩
2021年04月15日こんにちは、小笠原の鈴木です。
島に来てそろそろ一年が経ちますが、とうとう長袖を着て事務所へ出勤することは一度もありませんでした。寒いと朝起きるのが辛いので、個人的には助かっています。
さて、3月中旬に兄島(無人島)でヘリコプターによる殺鼠剤の空中散布を行いました。
目的は希少な固有マイマイ(カタツムリ)を食べてしまう外来種、クマネズミの駆除。
固有のマイマイが今も多く生息する兄島では、島内の特にマイマイが多くいるエリアを中心に殺鼠剤による対策を行っていましたが、ネズミの生息数はじわじわと増加していました。そこで、ネズミによるマイマイへの被害が致命的なものとなる前に、2011年以来3度目となる、ヘリコプターを使った殺鼠剤の空中散布を行うこととなりました。
▲殺鼠剤を散布するヘリコプター(ぶら下げている機材から殺鼠剤が撒かれます)
散布にあたっては住民向けの説明会やチラシの全戸配布をし、散布の目的やなぜ今実施する必要があるのかなど、島民の方々に向けた説明を行いました。
また、洋上では船やカヤックで、陸上では徒歩で河川に落ちた殺鼠剤の回収を行い、できる限り環境へ影響が無いように努めながら、予定していた範囲への散布を終わらせる事ができました。
▲洋上に流出した殺鼠剤の回収作業
後日、作業のため兄島に渡った時には弱ったクマネズミを見かけ、殺鼠剤空中散布の効果を確認することが出来ました。
このまま長期間にわたってネズミの低密度化が維持され、マイマイが増加することに期待したいと思います。
しかし、希少種や固有種を守るためとはいえ外来種を駆除している身としては、これ以上駆除される生き物を増やさないよう普段から環境配慮や普及啓発をしっかりと行う必要性があると再認識させられました。
話は大きく変わりますが、今年度は小笠原諸島が世界自然遺産に登録されて10年のメモリアルイヤー。
AR日記を通して、様々な情報を発信していければと思います。
小笠原 鈴木