関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。
春の色もしだいに濃くなっています。那須では裾野から山頂へ春が登りあげて行きますが、そのスピードが次第に速くなっています。
那須管理官事務所(那須高原ビジターセンター)ではトウゴクミツバツツジ、ヤマツツジが咲き始めました。
那須連山の山頂へ向かうと、まだフキノトウが咲いているところもあります。
今年は那須の春の流れをじっくり感じようと思っています。早春の風物の一つ、「フキノトウ」。
どこの地方にもあり、低地から高地にもありふれたものと思います。
しかし、意外に自分がフキノトウをじっくり見てこなかったことに気づきました。
今回フキノトウをじっくり観察してみました。
実は前回のAR日記(「那須の春は小出し」)に、フキノトウには雄株と雌株があるとことを記しました。
見慣れた植物である'フキ'についての考察です。
フキノトウ です。
さて、これは雄株?雌株?
フキは、キク科の植物です。
キクの花の特徴の一つは、1つの花に見えるのは実は多数の花の集合体(頭状花序)であることです(タンポポと同様です)。
この写真では、二十個以上の頭状花序が束になっていることになります。
キク科では1つの頭状花序を形成する小花に2つのタイプがあることも特徴です。
筒状花と舌状花です。
タンポポでは、頭状花序の周辺部に舌状花が並び、中央部に筒状花が集まっています。
タンポポについては、身近の花で確認してみてください。
筒状花は文字通り筒状で、ユリの花を小さくしたような形です。
ただしキク科は花弁5枚です(ユリ科は3枚だが、がく片と合わせて6枚に見える)。
フキの雄株の頭状花序は、筒状花のみが集まっています。
・・・ということは、この写真は、・・・
そう、雄株です。
拡大してみます。
筒状花が外側から咲いて行きます。
筒状花には真ん中にめしべもありますが、これは花粉がついても結実しません。
おしべはと言うと、めしべの下部を腹巻き状に包んでいます。
この写真ではよく分かりませんので、タンポポの筒状花も同様ですから、
身近のタンポポで確認してみましょう。
さて、雌花は、これです。
これも確かにフキノトウですね。
でも雄花とは何か違います。
今まで私も、「うん、そうそうフキノトウだね。」と、全く区別していませんでした。
今回ようやくしっかりと確認しました。
雌株の頭状花序は花弁がほとんど退化してめしべが長く伸びた小花でできています。
このめしべに雄株からの花粉が受粉すると、結実します。
中心部には数個の筒状花もありますが、花粉はつくりません。
この筒状花は蜜を出して、雄株の花粉をつけた虫を誘うのに必要だそうです。
那須高原の何カ所かを探して、フキノトウの雄株と雌株の区別がつくようになり、
ちょっとすっきりしました。
でもまだ完全なすっきりではありません。
雄株、雌株のフキノトウのその後はどう違うのか?
雌株は結実し、冠毛を発達させて種子を風に乗せて飛ばすはずです。
これもタンポポと同様です。
では雄株のフキノトウはどうなるのか?
両者のその後を追ってみました。
雌株はやはり、
開花後背を伸ばし、冠毛を発達させています。
そしてやがてこうなります。
では雄株は?
なかなか「雄株その後」が見つからなかったのですが、
見つけました。
開花後は成長していないようです。
小花は枯れています。
このまま枯れてしまうようです。
これで、すっきり!!
色々な自然物を見てきましたが、まだまだ簡単に見過ごしているものがたくさんあります。
少しずつ良く見て、理解して行きたいと思います。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、日光、尾瀬、秩父多摩甲斐、小笠原、富士箱根伊豆、南アルプス国立公園があります。
みなさま、こんにちは。 日光国立公園 那須管理官事務所の善養寺聡彦です。
春の色もしだいに濃くなっています。那須では裾野から山頂へ春が登りあげて行きますが、そのスピードが次第に速くなっています。
那須管理官事務所(那須高原ビジターセンター)ではトウゴクミツバツツジ、ヤマツツジが咲き始めました。
那須連山の山頂へ向かうと、まだフキノトウが咲いているところもあります。
今年は那須の春の流れをじっくり感じようと思っています。早春の風物の一つ、「フキノトウ」。
どこの地方にもあり、低地から高地にもありふれたものと思います。
しかし、意外に自分がフキノトウをじっくり見てこなかったことに気づきました。
今回フキノトウをじっくり観察してみました。
実は前回のAR日記(「那須の春は小出し」)に、フキノトウには雄株と雌株があるとことを記しました。
見慣れた植物である'フキ'についての考察です。
フキノトウ です。
さて、これは雄株?雌株?
フキは、キク科の植物です。
キクの花の特徴の一つは、1つの花に見えるのは実は多数の花の集合体(頭状花序)であることです(タンポポと同様です)。
この写真では、二十個以上の頭状花序が束になっていることになります。
キク科では1つの頭状花序を形成する小花に2つのタイプがあることも特徴です。
筒状花と舌状花です。
タンポポでは、頭状花序の周辺部に舌状花が並び、中央部に筒状花が集まっています。
タンポポについては、身近の花で確認してみてください。
筒状花は文字通り筒状で、ユリの花を小さくしたような形です。
ただしキク科は花弁5枚です(ユリ科は3枚だが、がく片と合わせて6枚に見える)。
フキの雄株の頭状花序は、筒状花のみが集まっています。
・・・ということは、この写真は、・・・
そう、雄株です。
拡大してみます。
筒状花が外側から咲いて行きます。
筒状花には真ん中にめしべもありますが、これは花粉がついても結実しません。
おしべはと言うと、めしべの下部を腹巻き状に包んでいます。
この写真ではよく分かりませんので、タンポポの筒状花も同様ですから、
身近のタンポポで確認してみましょう。
さて、雌花は、これです。
これも確かにフキノトウですね。
でも雄花とは何か違います。
今まで私も、「うん、そうそうフキノトウだね。」と、全く区別していませんでした。
今回ようやくしっかりと確認しました。
雌株の頭状花序は花弁がほとんど退化してめしべが長く伸びた小花でできています。
このめしべに雄株からの花粉が受粉すると、結実します。
中心部には数個の筒状花もありますが、花粉はつくりません。
この筒状花は蜜を出して、雄株の花粉をつけた虫を誘うのに必要だそうです。
那須高原の何カ所かを探して、フキノトウの雄株と雌株の区別がつくようになり、
ちょっとすっきりしました。
でもまだ完全なすっきりではありません。
雄株、雌株のフキノトウのその後はどう違うのか?
雌株は結実し、冠毛を発達させて種子を風に乗せて飛ばすはずです。
これもタンポポと同様です。
では雄株のフキノトウはどうなるのか?
両者のその後を追ってみました。
雌株はやはり、
開花後背を伸ばし、冠毛を発達させています。
そしてやがてこうなります。
では雄株は?
なかなか「雄株その後」が見つからなかったのですが、
見つけました。
開花後は成長していないようです。
小花は枯れています。
このまま枯れてしまうようです。
これで、すっきり!!
色々な自然物を見てきましたが、まだまだ簡単に見過ごしているものがたくさんあります。
少しずつ良く見て、理解して行きたいと思います。