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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

芦ノ湖水門を訪ねて2021(箱根地域)

2021年06月29日
富士箱根伊豆国立公園 山口光子

皆さん、こんにちは。

富士箱根伊豆国立公園管理事務所の山口です。

5月に予定していたパークボランティア主催の行事「芦ノ湖水門と歴史を訪ねて」は、まん延防止措置対策のため中止されましたが、今回も次年度に向けての研修が実施され、アクティブレンジャーが同行しています。

このコースは、箱根の「歴史」と「ジオ(大地のパワー)」に触れられるコースです。

【 箱根ビジターセンターで配布しているコースマップです 】

【湖尻水門】

このコースでは「湖尻水門」「深良水門」2つの水門を通ります。

上部写真の「湖尻水門」は、大雨等で芦ノ湖の水が増えすぎた際に解放される水門です。今の姿は平成2年に立て替えられた新しいものです。それ以前は手動の水門だったそうです。パークボランティアさんの中には、以前の古い湖尻水門を実際に手動で締めて、芦ノ湖の水量を管理した経験者がいます。経験者が語る、リアルな水門管理のお話は、聞き応えがあることでしょう。

【移築され残されている古い湖尻水門】

「深良水門」周辺からは、登りのコースです。芦ノ湖周辺の標高700m前後から、1000m前後まで1時間程度かけて登っていきます。一部古い石畳が残されていますが、滑りやすいため注意して歩く必要があります。

【深良水門 (2020年3月撮影)】

途中に現れる、箱根スカイライン(車道)を歩いて渡ると、ここから景観が変わります。富士山から吹く風が、冷たく強く吹くことで、育つ植物が限られてくる地帯「風衝地」です。箱根外輪山らしい景色が広がります。

【 箱根の風衝地はササの草原です 】

 そして振り返ると、そこには絶景が。

【 芦ノ湖と箱根内輪山 】

 箱根の名所を一度に見渡せる景観が広がります。箱根には火山活動と人の暮らしが両立してきた歴史が有り、「ジオサイト」と呼ばれる、大地が動いている軌跡が各所にあります。この風景を眺めながらパークボランティアさんのガイドを聞くことで、「ジオサイト」の点と点をつないだ線が見え、箱根ジオパークの全体像が感じられました。スタート地点の箱根ビジターセンターも見えて、歩いた距離の実感も湧きますよ。

 また、それ以外にも、駿河湾や富士山が見える展望があり、実際にその目で見て欲しい!と感じる景観抜群のハイキングコースでした。写真撮影のベストスポットは、パークボランティアさんが知っています!是非、教えてもらいましょう。

季節の植物としては、「ツチアケビ」を目にすることが出来ました。5月下旬の姿はアスパラガスのようです。夏の姿はまた激変しますので、夏期以降でこのコースを歩くときには楽しみに探してみて下さい。

【ツチアケビ 春の姿はアスパラガス?】

来年は、お客様をご案内できますように。コロナ禍の終息を、切に願います。