アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
富士山に見る自然の脅威【富士五湖地域】
2021年06月02日こんにちは。富士五湖の小西です。
ここのところ半袖で過ごせるような日も増えてきて、富士山に春先に現れる雪形「農鳥」もだいぶ小さくなり「卵」のようになってきました。
かなり雪も少なくなりました
*インターネット自然研究所(富士山北麓フラックス観測サイト)映像を使用)
ここ富士五湖地域の富士吉田市や鳴沢村では、春先3月から5月頃になると、「なだれ注意報」が時々発令されます。この地域は冬場かなり寒くなりますが、積もるような雪はシーズンに数回しかないのに何故でしょう?
そう、富士山です!!!!
富士山では数年に1度、大規模な雪崩が発生し、山腹の自然や道路、登山道が大きな被害を受けてきました。
今年も3月21日の300mmを超す大雨で溶けた雪が土砂と一緒に流れ出す「スラッシュ雪崩(こちらでは「雪代」とも呼ばれています。)」が発生し、山梨県側の五合目までのアクセス路である富士スバルラインは一部の橋や洞門が20m~170mにわたって雪や土砂に覆われ、通行できなくなってしまいました。
また、五合目あたりの標高をほぼ一周している歩道「御中道」も被害にあいました。
環境省では御中道をより楽しんでいただけるよう、数年前より歩道上に地図や自然解説の看板を整備しており、昨年秋にようやく全ての設置が完了したところでした。
新たに設置した植物解説看板 古い土台を活かして盤面をリニューアル
それらの看板の被害状況を確認するため、スバルラインの全面通行再開を待って御中道に行ってきました。
看板を設置した場所によっては、雪崩により流されてしまう危険性もあるため、冬期の間、取り外しができる設計にはしていましたが、諸事情もありまず『ひと冬どんな状況か様子を見てみよう』ということで外さずにいましたが、、、、、
見事にやられてしまいました、、、、、、、
自然の脅威を見せつけられました。
幸い被害にあった看板は1つだけでしたが、自然の力を知る例としてこのまま残すか撤去するか現在検討中です。
「富士山の変わらぬ美しさを後世に」
とよく言いますが、美しさは変わらずとも、山は天候や噴火など様々な自然の影響を受け変化をしていることを改めて実感しました。
何十年先の富士山はどうなっているのでしょうか?変化を見続けていきたいです。
*御中道はすでに開通しています。新型コロナ感染対策をした上で富士山の自然を楽しんでください。
富士山の開山まであと1か月です!今年こそは無事開山できるよう、関係者はそれぞれ準備を進めているところです。
(富士登山に関する情報は「富士登山オフィシャルサイト」に随時アップしていきます)