アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
【小笠原】無人島の小さい象!?
2021年07月30日みなさんこんにちは、小笠原の坂田です。
夏本番の小笠原ではボニンブルーの海が美しく、ひとときの癒やしとなっています。
【仕事場所である兄島から見下ろす滝之浦湾】
先日、兄島の昆虫調査に同行しました。
調査地点では、決めた時間内にどのくらいのヒメカタゾウムシ類を見つけられるか調べていきます。
調査対象となるヒメカタゾウムシとは・・・・?
小笠原諸島で独特の進化を遂げている昆虫で体長は5~7mm内外、6~7月に成虫がよく見られます。
おもに在来樹林(シマイスノキやヒメフトモモなど)に生息していて、羽が退化しているため移動手段は歩行のみ・・・!!
私だったら羽を付けて空を飛んでみたい所ですが・・・
よっぽど歩くのが好きだったのでしょう。
行動範囲が狭いこともあり、島や環境ごとに10数種類にも分かれているとか・・・。
写真の種類のように、黒色の地味なものから、キラキラと美しい外見のものまで、見た目も違います。
住処も樹上や土の中と様々です。
現在もどんな生活をしているのかまだまだ謎が多いヒメカタゾウムシ達です。
このヒメカタゾウムシ類を調べることで、グリーンアノール(外来種のトカゲ)の侵入による兄島の昆虫の被害状況や、生息状況を知ることができ、外来種対策や昆虫の保全対策につながっていきます。
【左上:アニジマイナゴ 右上:ハナダカトンボ】
【左下:キイロトラカミキリ 右下:ルリカメムシ】
ヒメカタゾウムシ含め兄島には様々な昆虫がいます。
昆虫は自然界の中で植物の花粉を運んだり、時には他の生き物の栄養となったり、生き物同士をつなげてくれる存在です。
昆虫を守っていくことが、自然やそこで暮らす生き物の保全につながっていきます。
皆さんも野山や公園、畑や田んぼなど、様々な場所で色々な昆虫を見かけると思います。
見つけた昆虫たちがそこで何をして、どんな役割を果たしているか、想像してみるのも楽しいのではないでしょうか。
今回の調査中にヒメカタゾウムシの名前にも含まれる"ゾウムシ"の名前の由来が分かるゾウムシに出会うことが出来ました。
【オガサワラクチカクシゾウムシ】
まさに・・・これは小さい象!?
象の鼻に似た口部とその姿に心が躍りました♪