アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
黒い溶岩に白い大輪 (伊豆諸島地域)
2021年08月27日こんにちは。鳥と花が好きな小野可蓮です。
夏もあっという間に過ぎていきましたね。
大島ではホトトギス、オオルリ、アオバズクなどの夏鳥の声が7月頃まで沢山聴けました。
今年も無事沢山の雛達が育ったことを願います。
さて、伊豆諸島の夏といえば?
白!大!香!美!花!
あれの時期!
そう、伊豆諸島の固有変種、サクユリです!!!
▲ サクユリと空
2月に大島に来てから実物を見るのを楽しみにしていました!
世界的に見ても大きい野生の百合。
草丈(背の高さ)2m、花径(花の大きさ)30cmにもなります。
明るく乾いた土地を好むようで、伊豆大島では主に三原山のカルデラ内に咲き誇ります。
▲ 曇りの日の三原山に大きなサクユリの株(1.3m程)
このサクユリ、島によって花の模様の具合も違うようで、大島では黄色の赤茶の斑点模様が入ったものが混在しています。
▲ 斑模様の色合いが異なるサクユリ。絶妙な色や形の個体差を見るのが楽しいですよ。
左上:黄色の斑模様がある個体(利島) 右上:赤色の斑模様がある個体(大島)
左下:茶色の斑模様がある個体(大島) 右下:薄く茶色の斑模様がある個体(大島)
伊豆諸島の中では、神津島は赤や茶の斑模様がある個体が多く、利島は黄色の斑模様のある個体が多いようです。
そんな中、大島はどちらも多く見られます。
他の島のサクユリも見に行けると、より島毎の違いを見られて良かったのですが、また来年のお楽しみということで!
ちなみにこのサクユリ、花がいくつも咲くようになるまで、何年くらいかかると思いますか?
1年でしょうか?
3年??
それとも5年???
私も驚いたのですが、地元の植物に詳しい方によると、なんと
10年前後もかかるとのことです、、、!
風にも負けず、日差しにも負けず、長い年月を掛けてこんな大きな花を咲かせていると思うと、敬意を感じざるを得ないです。
▲ 花を沢山(13個)付けた大きめ(130cm)の株
まず発芽に2年かかります。
そこから背丈が40cmくらいになるまで数年。7、8年頃で背丈が70cmに近付いていくそうです。
花が15以上咲いている個体に関しては私より年上かもしれません。
実際に見てみると、特別ユリ好きでない私ですら、その美しさには圧倒されました。
言葉では説明し難い感動でした。
伊豆諸島、どの季節に訪れても魅力一杯ですが、この黒い砂漠に白い大輪という組み合わせは世界中探しても中々無い特別な景色だと思っております。
▲ 黒い溶岩に白い大輪
おまけ
こんなかわいい奇形の子もいたりします。味があって面白いと思うのは私だけでないはず!
▲ 三原山で見た奇形のサクユリ
▲ 後ろ姿も美しい
ぜひ来年の夏はサクユリの開花時期を狙って伊豆諸島へ遊びに来てください!
【ご注意ください】
伊豆諸島では、自治体ごとに来島のガイドラインを掲げ、島内での感染拡大防止への協力を求めています(2021年8月27日現在)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体や観光協会のホームページで来島のガイドラインをよく読み、最新の情報を必ず確認してください。