アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
大島の初秋 (伊豆諸島地域)
2021年09月13日こんにちは。鳥と花が好きな小野可蓮です。
でも最近は、鳥より魚のことを考えている気もします!
伊豆大島で、海に入り、魚と触れ合い、釣りをし、海の恵みをいただき、
そうしている内に、初めて本当の意味で、心の底から「海を守りたい」と思えるようになりました。
体験することが全てなんだなと、改めて思わされました。
さて、これくらい過ごしやすい日々が続くとハイキングに行きたくなりませんか?
わたしは行きたくなります!
コロナの影響でなかなか外出はできませんが、季節も変わり出し、いよいよ秋っぽくなってきたところなので、先日行った大島での巡視の様子をお伝えしたいと思います。
三原山までのハイキングコースは5つほどあります。
そのうちの一つが「テキサスコース」です。
大島一周道路沿いに入口があり、三原山の麓まで2時間ほどと、丁度良い距離です。
テキサスコースに入ると、しばらくは暗めの林が続いており、準絶滅危惧種であるカラスバトの鳴き声なども聞くことができます。
途中からは開けて明るくなり、植生が一気に変わるため、植物の遷移(移り変わり)の様子も見ることができます。
▲テキサスコースの林の中の様子
途中途中に「三原山まで☆km」と看板が設置してあります。
歩いていてなんだか少し安心ですよね。
ちょっとした休憩場所もあります。
▲(左)テーブルとベンチ (右)看板
木製のものが設置され、周りの景観への影響が最小限にされている
開けた場所では初秋の花々が迎えてくれました!
まずはセンニンソウ。
つる植物のため、他の植物に絡み付きながら生えます。
▲ センニンソウ
こんなに可愛い姿ですが全体的に有毒な植物です!
野生動物に食べられないように進化したのでしょうね。
▲ センニンソウ 奥に見えるのが三原山
丸く生えた木を覆ってこんもりとしている姿がかわいかったです。
近くを通ると良い香りがするのですぐにわかりますよ。
ハチジョウイタドリも開花中です。
雌雄異株で、雄は薄黄色の花を咲かせ、雌はそれに加えて紅色の果実を付けます。
この日はツマグロヒョウモンという蝶の雌が、蜜を吸いに訪花しているところに遭遇できました。
▲ ハチジョウイタドリの蜜を吸うツマグロヒョウモン
▲ ハチジョウイタドリは雌雄異株 雌は紅色の果実を付けるので見分けが付く
ハチジョウススキも穂を付けていました。
▲ ハチジョウススキ 奥に見えるのが三原山
手にとって拡大して見てみると、一つ一つの種の様子が観察できます。
この毛は種の表面積を増やすためにあるものです。
これなら上手く風に乗って種を飛ばせそうですね。
▲ ハチジョウススキ 種子の拡大図 一つ一つに「毛」が付いており風に乗る役割を果たす
伊豆諸島で有名なアシタバも開花していました。
蕾の部分がぷっくり膨らんだ後、小さい花が沢山咲きます。
▲ 蕾の様子
▲ 開花中
三原山や裏砂漠周辺は、国立公園の特別保護地区に指定されていますので、アシタバなどを含め植物は、採取したりせずに、見て楽しんで行ってくださいね。
明日葉の天麩羅は絶品なので、伊豆諸島に遊びに来たらぜひ、一度はお店で堪能して行ってください!
前の記事で紹介したサクユリも立派に結実していますよ!
▲ サクユリ結実中
▲ 果実は5cm前後まで成長しました
濃い緑と特徴的な形に惹かれます。
実物の種を見るのも今年の秋の楽しみのうちの一つであります!
初秋の「テキサスコース」の様子は楽しんでいただけましたでしょうか?
秋は気持ちの良い天気の日も多く、三原山を回るにはもってこいです。
整備されているとは言え、滑りやすくなっている箇所や草が生い茂っている箇所もあるので、
ハイキングブーツなど装備して来られた方が楽しく歩けるでしょう。
もうすぐ色々な植物の実も熟し、また違った表情を見られるようになります。
身近な場所にこそ、今まで気付かなかった素敵な発見が待っているかもしれません。
自然観察を楽しみながら、良い秋をお過ごしください。
【ご注意ください】
伊豆諸島では、自治体ごとに来島のガイドラインを掲げ、島内での感染拡大防止への協力を求めています(2021年9月14日現在)。伊豆諸島へ旅行を計画されている方は、自治体や観光協会のホームページで来島のガイドラインをよく読み、最新の情報を必ず確認してください。