アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
プルースト効果と呼ぶそうです「伊豆半島から見る夕日」
2021年10月27日みなさん、こんにちは。久方ぶりに袖を通したセーターの匂いに懐かしさを隠せない齋田です。
特定の香りを嗅いだときに遠い昔のような心もちがするのは、なんだか不思議な気分ですね。
この季節は、金木犀や古本等の匂いをきっかけに、いつかの思い出が蘇る方も多いのではないでしょうか。
さて、今回はそんな懐かしさを感じる伊豆半島の秋の景色をご紹介します。
秋の香りを共有することは難しそうなので、美しい景色から感じる懐かしさや伊豆半島の自然の魅力について、写真を通してお伝えできればうれしく思います。
*緊急事態宣言が解除されたため、伊豆半島で出会える昆虫シリーズは連載をお休みさせて頂きます
まず初めにご紹介するのは、大きな奇岩で有名な黄金崎より望む夕日です。
【黄金崎より望む夕日】
やわらなか西日を受けて黄金色に輝く岩肌が眩しい、西伊豆町宇久須の黄金崎。
安山岩が温泉水や地熱等によって変質したことで、このような黄金色の岩肌になったと言われています。
その美しさもさることながら、学術的にも非常に価値が高いらしく、昭和63年には「黄金崎のプロピライト」として静岡県の天然記念物に指定されました。
また、環境省の「富士山がある風景100選」に選定されており、富士山の展望地としても有名です。
この日は北の空が雲に覆われてしまい、残念ながら富士山を見ることはできませんでしたが、晴れた日には写真右上部に富士山を望むことができます。
さて、突然ですが、みなさんは岩の形が何かの生き物のように見えませんか?
面長な顔立ちに、ぴんと立った耳。立派なたてがみもあります。波に濡れた鼻先は柔らかそうです。
もうお分かりですね。この岩は動物の馬の形にそっくりなことから、「馬ロック」と呼ばれています。
私は岩のくぼみが大きな瞳のように見えるのですが、みなさんの目にはどのように映っているでしょうか?
黄金崎へは、修善寺駅よりバスで70分、黄金崎クリスタルパークにて降車後、徒歩15分で辿り着くことができます。
続いてご紹介するのは、伊豆半島を代表する夕日スポット、大田子海岸より望む夕日です。
【大田子海岸より望む夕日】
伊豆半島が誇る夕日の名所、西伊豆町田子の大田子海岸。日本夕日百選に選定されています。
海に浮かぶ大きな奇岩は、沖よりの左側から順に男島・女島(2つを合わせて田子島)、男島と女島の手前にそびえる怪獣のような岩はメガネッチョ(ゴジラ岩)と呼ばれています。
大田子海岸ではほぼ年間を通して夕日を楽しむことができますが、春分と秋分の頃には男島と女島の中央に太陽が沈み、幻想的な光景を見ることができます。中でも、メガネッチョの大穴に夕日が重なる構図は有名で、全国の夕日を集めたカレンダーや海をモチーフとした写真集等で使用されることが多いです。
うるんだ赤い硝子球のような夕日が海の果てに沈んでいく様子は、言葉では表現することのできないほどに情緒的ですね。
私はこの景色を眺めるたびに、子どもの頃に友達と自転車で遠出をしたときの思い出が蘇ります。
大田子海岸へは、修善寺駅よりバスで80分、大田子にて降車後、徒歩3分で辿り着くことができます。
伊豆半島から見る夕日はいかがでしたか?
懐古の情に浸りがちな秋の季節に、是非一度、伊豆半島の真っ赤な夕日を眺めにお越し下さい。
夕日のあたたかさや潮風のやわらかさ、波の音、浜辺の湿った匂いが、きっとみなさんを懐かしい気持ちにしてくれることと思います。
咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の基本的な感染症対策に努めながら、伊豆半島の豊かな自然を存分に満喫しましょう!