関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、日光、尾瀬、秩父多摩甲斐、小笠原、富士箱根伊豆、南アルプス国立公園があります。

富士北麓 春の自然を振り返って (1)

2022年05月14日
富士箱根伊豆国立公園 半田尚人

はじめまして!富士五湖管理官事務所の半田です。
今年は3年ぶりに行動制限の無いゴールデンウィークでしたが、いかがお過ごしでしたか。中には富士五湖を訪れて、キャンプなど自然を満喫した方もいらっしゃると思います。日常生活でなかなか自然と触れられないと、休日に訪れた先で出逢う自然にとても癒やされますよね。
植物や動物など自然は四季を通じて様々な表情を見せてくれます。富士北麓も年間を通じてご紹介したい自然がたくさんあります。今回はそんな中から春の自然、3月から4月頃に見られる自然を振り返りながら写真でご紹介してみたいと思います。

 

テングチョウ(天狗蝶)

天狗の鼻のように頭の先が突き出していることが由来のタテハチョウの仲間。この突き出た部分はパルピという匂いなどを感じる器官で、テングチョウは体が小さい割にパルピがとても発達して目立っています。春にいち早く見られるのは、成虫の状態で冬眠し越冬しているから。日本全国に分布しています。

テングチョウ (3月中旬 本栖にて)

 

ミツマタ(三椏)

早春。三つ叉に分かれた枝先に黄色い花を咲かせ春の到来を告げてくれます。実はこの植物、英名は Oriental paperbush と言い、樹皮が和紙、特に日本紙幣の原料になっています。ミツマタで漉いた和紙は、こすれや折り曲げに強い特徴があります。気付かないところでお世話になっているのですね。

ミツマタ (3月下旬 本栖 東海自然歩道にて)

 

ニホンカモシカ(日本羚羊)

カモシカは若い新芽を食べるために湖畔近くまで下りて来ることがあるため、春先に湖の近くの山の斜面で出逢うことが時折あります。カモシカと言いますが、シカの仲間ではありません。シカの角は爪のように切っても生え替わりますが、カモシカの角は頭骨の一部で生え替わりません。ウシの仲間なのです。

ニホンカモシカ (3月下旬 河口湖畔にて)

 

バイカオウレン(梅花黄蓮)

春の初めに富岳風穴周辺の東海自然歩道などで見ることができるキンポウゲ科の白い可憐な花。「白い花」と書きましたが、実は花びらに見える白い部分は花びらではなく萼(がく)です。花びらは小さな黄色い部分。樹海の中で群生しているバイカオウレンの姿は訪れる人たちの心を和ませていました。

バイカオウレン (4月上旬 富岳 東海自然歩道にて)

 

桜と富士山

「日本らしい風景」として思い浮かべられる、満開の桜と雪を冠した富士山のコラボ。4月には各地から楽しむことができます。世界文化遺産である富士山は「信仰の対象と芸術の源泉」という副題を持っています。芸術の源泉とはこのインスピレーションを言うのですね。この美しい風景をいつまでも残していきたいですね。

富士山遠望 (4月中旬 富士吉田市 孝徳公園より)

 

メジロ(目白)

鮮やかな黄緑色をした春の鳥なのでウグイス(鶯)と間違えてしまう人もいますが、本当のウグイスはもっと地味な色をしており、これはメジロです。メジロやヒヨドリ(鵯)などは花の蜜が大好物で、桜の時期には花に嘴を差し込んで蜜を吸う姿がよく見られます。ところで本当のウグイスはどんな色?それはまたの機会に。

メジロ (4月中旬 富士河口湖町内にて)

 

いかがでしたか。ここにご紹介したのはほんの一部で、他にもたくさんの動植物が、富士北麓の環境で、たくましく生きています。「富士北麓春の自然(2)」では4月後半から5月に掛けての自然の様子をご紹介したいと思います。

 

でも、ここで一つお願いです。
富士山麓の動植物に関心を持って頂き、写真を撮るのはOKですが、野生の植物を採ったり、動物を捕ったりするのはNGです。また、写真を撮るのに夢中になるあまり、ルートから外れたり、足元の植物を踏み荒らしたりしないようにしましょう。マナーを守り、素敵な自然は素敵なまま後世につないでいくことが、とても大切なことです。

 

富士山カントリーコード

http://www.fujisan-climb.jp/manner/rules3.html