ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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富士箱根伊豆国立公園 沼津

231件の記事があります。

2010年05月26日天城山皮子平のマメザクラ

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

3月24日のアクティブレンジャー日記に皮子平のシカ柵設置について書きましたが、その後、4月6日にマメザクラの苗をシカ柵の中に植樹しました。

植樹中(2010年4月6日)

そして5月25日にその経過確認をしたのですが、元気に育ってくれている木もあれば、小動物(ウサギと思われる)にかじられてしまっている木もありました。
シカが入れない柵を設置したのですが、予想外に小動物は入ることができる柵だったのです。
ですから、今度はシカだけでなく小動物の対策も取らなければなりません。

マメザクラの苗は、試験・調査を目的として植樹したものですが、これらの木がしっかり育ってくれることにより皮子平の植生の再生に繋がっていくと思います。


シカ柵内に植樹をしたマメザクラの身長(?)を測っています。(2010年5月25日)

新緑がまぶしい皮子平(2010年5月25日)

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2010年05月14日越前岳

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

越前岳は富士山の南側にある愛鷹連峰の中で1番高い山で、標高は1504メートルあります。
登山口は十里木高原などにあり、それぞれの登山道にはいくつかの展望台が設置されています。
富士山が見られる展望台からは、裾野まで広がった雄大な富士山の姿が間近に迫ります。
越前岳山頂からは富士山は少ししか見えませんが、山頂の南側には山並みの先に富士市と駿河湾が広がっています。

巡視を行った5月13日の越前岳周辺は曇天で、富士山を見ることができませんでしたが、新緑がとてもきれいでした。

お天気の良い日に、雄大な富士山や眼下に広がる景色を見に出かけてみるのはいかがでしょう?
※越前岳は気軽に登れる山ではありますが、きちんとした装備でおでかけ下さい。


お天気が良い時の眺めです。
(2009年11月 十里木高原側登山道休憩所より撮影)

新緑がとてもきれいでした。

ギンリョウソウも顔を出していました。

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2010年04月28日倒木処理

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

アクティブ・レンジャーとして初めての冬が過ぎました。
着任した頃は、「伊豆半島でも雪が降る」ということに驚いたものですが、この冬降った雪には、先月下旬から何度か参加している伊豆市役所商工観光課の職員が行う倒木処理の作業で、いまだに多くの驚きを感じさせられています。
立派なブナの木がぽっきり折れてしまっていたり、ブナや杉・モミの木などが根っこから持ち上がって横倒しになってしまっているのを見ると、自然の脅威を感じずにはいられません。
それは作業中にも言えることで、思いがけない枝の跳ね返りなどの危険が伴うので、経験ある職員の方との作業はとても勉強になります。

4月26日で、ひと段落した倒木処理作業ですが、別の場所にも倒木があるという報告もあるので、今後も歩道上の倒木処理作業は続く予定です。

歩道を利用される方は、足元だけでなく、頭上にもしっかり注意して歩いて下さい。
また、ピンクのビニールテープは「頭上注意」や「少し弱っている木」の印なので、そのテープを見かけたら一層の注意を払って下さい。


倒木によりすっかり隠れてしまった歩道。

処理後、ようやく歩道が見えるようになりました。

ピンクのテープは注意喚起です。

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2010年04月14日富士山麓も春近し!

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

自然保護官事務所のある沼津の桜は満開を過ぎ、新緑が待ち遠しい時期を迎えています。
しかし、先週参加した富士山西麓にある田貫湖ふれあい自然塾の早朝調査では、「まだまだこれから!」という桜の姿が見られました。




標高が高いので、まだ少し寒さが残る田貫湖ふれあい自然塾ですが、桜の他にニリンソウやオドリコソウ・スミレ・ジロボウエンゴサクなど、たくさんの花が咲き始めていました。

ジロボウエンゴサク


湖畔に花の姿が多くなったのとは逆に、水上の渡り鳥の姿が少なくなりました。
キンクロハジロも数羽しか見られませんでした。
北へ向かって飛んでいったのですね。


キンクロハジロ


富士山麓も、着々と春への準備を進めているのを感じました。

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2010年04月08日踊子歩道

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

川端康成の著書「伊豆の踊子」は、その名の通り伊豆が舞台ですが、その名前が付けられた遊歩道があります。それが「踊子歩道」です。
踊子歩道は、伊豆半島のほぼ真ん中を縦に走る国道414号線沿いにあり、浄蓮の滝から天城峠を越えて河津七滝までを結ぶ遊歩道です。

先日、この踊子歩道の浄蓮の滝~水生地下の区間(往復で約10㎞)を巡視してきました。
踊子歩道は、浄蓮の滝から歩き始めると天城峠まではゆるやかな上りとなりますが、きれいな水が流れる滑沢渓谷や、川沿いに拓かれたわさび田、森の中の苔むした岩々などを眺めながら歩いていると、あっという間に歩ききってしまうのではないかと思います。
もちろん天城峠から下るようにして歩くのも良いでしょう。

ハイキングや森林浴でしっかりと歩道を歩いてみても良い場所のひとつですので、1度訪れてみてはいかがでしょうか?



踊子歩道から見られる滑沢渓谷。

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2010年03月24日シカ対策の柵設置作業

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

天城山皮子平マメザクラ保護協議会主催のマメザクラ保護のための防護柵設置作業に参加してきました。

天城山中にある皮子平は、標高1100メートルほどに位置する火山の火口跡です。ここにはマメザクラが群生していますが、十数年前から衰退が進んだため、地元の方々が協議会を立ち上げて、マメザクラを保護するための活動をされています。
衰退前の皮子平の写真を見ましたが、マメザクラが咲きみだれ、火口跡一面にススキが生い茂っていました。衰退の理由はいろいろと推測されていますが、現在のところはっきりしていません。シカの影響は衰退の原因の1つと見られており、保護活動の1つとして、今回はシカ対策の防護柵を2ヶ所に設置しました。
協議会のみなさんは、以前から設置していた比較用の防護柵を定期的に観察してきました。そして防護柵の中と外では、植物の成長や種数が著しく異なることがわかり、今回の設置に至ったのです。
今後は、時期を見てマメザクラの苗を植樹する予定だと言うことです。
私はまだマメザクラが咲いている皮子平を見たことがないので、来るべき時期に行って見てみたいです。


防護柵を設置中です。

防護柵、完成です。

こちらはもう一つの防護柵です。

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2010年03月17日自然の力

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

先週、伊豆半島山稜線歩道の仁科峠から猫越峠(ねっことうげ)間の巡視をしてきました。
今年に入ってから度々雪が降りましたが、3月になってからはさすがに雨が降ることの方が多かったので、雪はほとんどないのではないかと思っていました。
確かに、日当たりの良い仁科峠付近の歩道にはほとんど雪がない状態でしたが、猫越岳へと進むにつれて残雪が多くなり、結局は雪を踏み締めながらの巡視となりました。

この日の巡視では、歩道を塞ぐように折れてしまった枝や倒木の処理を行いました。雪の重さによるものと思われます。折れたり倒れたりしていた木は、枯れ木ではなく元気よく成長している木がほとんどで、処理をしながら自然の力のすごさを実感しました。


こんなにしっかりしたブナの木でもこの状態です。

こちらのブナの木も変わり果てた姿に。

ハラハラと舞い落ちる雪も、積もりに積もれば元気な木の枝を折るほどの力となります。
雪山でのレジャーを楽しむ時には、足元だけでなく頭上にも気をつけて下さい。

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2010年03月10日虫こぶ

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

先日、富士箱根伊豆国立公園城ヶ崎海岸を歩いていたら、写真のような葉っぱに出会いました。
「虫こぶ」です。(「虫えい」とも言います)
「虫こぶ」とは、植物が内部に昆虫の卵を産み付けられて、その植物の組織が異常に発達してできるものです。
写真のように葉にできるものもあれば、枝や花や実にできるものもあり、形も植物やできる場所によって様々です。
また総じて「虫こぶ」「虫えい」と呼んでいますが、それぞれの名前は「植物の名前+できた場所+その形」で決まるのだそうです。
例えば、クスノキの葉がすぼむようにできていたら「クスノキハスボミフシ」、クヌギの木の枝にイガのようにできていたら「クヌギエダイガフシ」となります。最後の「フシ」は虫こぶという意味です。
虫こぶは、農業上は害となる場合もありますが、中には皮革のなめし剤として使われたりマタタビ酒として利用されたりと、役に立つものもあります。

もし同じ植物なのに「何かが違う」と思ったら、よく観察してみて下さい。
それは「虫こぶ」かもしれません。


シロダモの葉にできた虫こぶ「シロダモハコブフシ」

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2010年03月04日松の植樹

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

富士箱根伊豆国立公園城ヶ崎海岸は、美しい松林の景観で有名な観光名所のひとつです。
しかし、マツノザイセンチュウの感染によって多くの松が枯れてしまうという事態が起こったため、地元の方々が「松を守ろう」と「城ヶ崎海岸の松と自然環境を守る会」を立ち上げ、松の木への防腐剤の樹幹注入をはじめ、松を守るための様々な作業をされています。
「松の植樹」もその一環で、毎年2月~3月に城ヶ崎海岸地区の小学校を卒業される生徒さん達に「卒業記念植樹」を行ってもらうことによって、松林の再生を目指しています。

先日、その「卒業記念植樹」に参加してきました。
少々風が強い曇天でしたが、2つの小学校の生徒さん39人の元気な声が作業場所に響き渡ると、そんな天気も気にならなくなりました。
生徒さん達は、会の方の「なぜ松を植えるのか」「どんな松をどのように植えるのか」という説明を聞いた後、4人ほどのグループに分かれてそれぞれ会の方々の指導の下、楽しそうに松を植えていました。
植えられた松は背丈40㎝ほどのものですが、これから生徒さん達の成長と共に元気よく背丈を伸ばしていくことでしょう。


一生懸命作業中です。

自分の松を植え終わった子が、お友達を手伝っている姿もありました。

植えられた松達は、日当たりの良い場所ですくすくと成長していくことでしょう。

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2010年02月24日伊豆半島山稜線歩道巡視

富士箱根伊豆国立公園 沼津 橋本 和加子

先日、伊豆半島山稜線歩道の戸田峠から船原峠の間を巡視してきました。
この区間には、小達磨山(709.5m)・達磨山(981.8m)・古希山(870m)・伽藍山(867.4m)があり、それぞれの場所からの眺めはなかなか良いものです。

今回の巡視では、歩道の状態を確認すると共にシカによる植生への影響も確認したのですが、木の幹の皮剥があちらこちらで確認できました。
シカによる影響は全国で問題となっていますが、伊豆半島も例外ではありません。
伊豆半島には推定で2万頭ほどのシカが生息していると見られており、シカの食圧による植生への影響を少なくしようと、静岡県では特定鳥獣保護管理計画に基づいたシカの個体数を調整するなどの対策を図っていますが、植生への影響はなかなか減らず、厳しい状況にあるようです。
今回巡視した歩道の中では、特に古希山から南側の比較的なだらかな場所にシカのフンが散らばっていましたし、その辺りにはずっと動物の匂いが漂っていました。きっと近くにいたのだと思うのですが、姿を確認することはできませんでした。

巡視したのは2月22日でしたが、18日に降った雪が歩道上に残っている所がありました。
油断すると滑ってしまう可能性もありますので、ご利用の際には十分注意して下さい。
また現在、「二本杉峠」と「天城峠」の間は、崩落により通行止めとなっているということです。

達磨山登山途中からの眺め。

シカによる皮剥。

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