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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

【小笠原】針の先の世界

2022年08月20日
小笠原 坂田彩
みなさんこんにちは♪
小笠原の坂田です。
小笠原の自然は昼だけでなく、夜も楽しめるところが魅力だと個人的に思います!!
【休日に撮影した小笠原の天の川】
星空
さて、今回も小笠原の大好きな植物についてお伝えしたいと思います。
植物の開花時期は様々ですが、開花が1年に1回、またはそれ以上に時間がかかるものもあるかと思います。
短い時間の中で開花・受粉・結実して種を作る。
自然の中では虫や鳥、風など様々な物が植物の受粉を手伝っています。
しかし、その中には様々な理由で実を付けることが難しい植物もいます。
今回紹介するこちらの植物もその一つ。

【シマホザキラン】

シマホザキラン
被子植物・ラン科。絶滅危惧ⅠA類(CR)
標高200m~250mほどの林内に生育し、花期は夏。
草丈は約15~25cmで、25~30ほどの淡い緑色の花をつけます。
小笠原諸島の固有種で、種の保存法の国内希少野生動植物種に指定されています。

近年結実が少ないため、今回人工授粉を行ってきました!!
ただ、人が手を入れたからといって、簡単に実ができるとは限りません。
それもそのはず!!この小ささです・・・
昨年はうまくいきませんでしたが、今年こそは!!
目をこらして頑張っていきましょう!!

さぁ、受粉作業開始!!

まず、花の真ん中辺りにある葯室(花粉が入っている部屋のようなところ)と葯帽(花粉を包む役割をしている)の間に針を差し込み、花粉を取り出します。
針の先に着いているのが花粉です!!
この花粉をずい柱(おしべとめしべが一体となった部分)にある柱頭に乗せていきます。
しかし、この部分が見えないようになっているのが、このシマホザキラン。
簡単には花粉を付けさせてくれないようです・・・。
がしかし、見えなくてもめげません!!
ずい柱の上からあるはずの柱頭目指して、花粉付きの針の先を入れ、くいっと!!
最後に人工授粉した花がわかるように、糸を付けて終了です。
受粉が成功したかどうかは、次回の巡視で確認したいと思います。
成功していて欲しい!!
・・・と願うばかりです!!
シマホザキランの写真
針で取り出した花粉
シマホザキランの写真
受粉作業中
シマホザキランの写真
人工授粉後に糸を付けた花
・・・後日、他スタッフに確認に行ってもらったところ・・・
人工授粉に成功した花が♪
しっかりした実になるまで、温かく見守っていきたいと思います!!