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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

環境保全は足元から!【小笠原国立公園】

2023年05月24日
小笠原国立公園 南雲 裕夏子
みなさま、はじめまして。
今年4月より小笠原(父島)のアクティブレンジャーに着任した南雲です。

初投稿は、着任早々だからこその「小笠原での環境保全の“基本”をお伝えできればと思います。

小笠原が世界自然遺産に登録された大きな要因の一つは、独特の進化を遂げたマイマイ(カタツムリ)です。
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<写真>カタマイマイ
その貴重なマイマイを脅かしているものの一つが・・・
ニューギニアヤリガタリクウズムシ!!!
(略称「ニューヤリ」)
写真
<写真>ニューギニアヤリガタリクウズムシ
ニューヤリは陸生のプラナリア類でとても大食い。
1990年に父島で初確認されて以降、父島のマイマイ達は壊滅的な状況にあります。
まだ広域での駆除方法が確立されていない、とてもやっかいなニューヤリですが、父島での駆除はできなくても、他の島に侵入させないようにすることはできます。

では、このやっかいなニューヤリをこれ以上広げないためにはどうしたらいいと思いますか?

ここでヒント!
ニューヤリは泥の中や、石や葉の裏などの湿ったところで見られます。





答えはそう!
靴についた泥を落とすこと!!
靴底についている泥の中にニューヤリやその卵が入っている可能性があります・・・!

そこで、小笠原では靴底の洗浄とお酢などの噴霧を実施しています。

■入念な洗浄!

山域や他の島に行く前も行った後も、新品同様になるまでブラシでゴシゴシッ。
細かい所に入った泥は針金を使って掻き出します。
小笠原世界遺産センターにも、ツアー後などに靴底洗浄する方向けの足洗い場があります。
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ブラシでゴシゴシッ
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針金を使って泥を掻き出す

■お酢を噴霧! 

ニューヤリは酢やアルコールで死なせることができるので、山域や他の島に行く前に念入りに拭きかけます。
写真のように、一般の方が歩ける遊歩道などの入り口には泥落としマットや食酢スプレーが常備されているので、行政関係者以外にも靴底に付いた泥をできる限り落とし、食酢スプレーの噴霧に協力いただいています。
写真
泥落としマットとお酢スプレーで靴底を洗浄
写真
お酢スプレー
このような取り組みを一人でも多くの方に知ってもらい、実践していただくことで、小笠原の自然を利用する皆で貴重な自然環境を守っていきたいですね。
みなさんも小笠原へお越しの際は、ぜひ足元から保全活動にご協力いただけると嬉しいです!