関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

初めての人工授粉作業は難易度高!!成功なるか・・・!?

2023年10月10日
小笠原国立公園 南雲 裕夏子
こんにちは。小笠原事務所の南雲です。
先日、シマホザキランとアサヒエビネの人工授粉作業を行なってきました!
シマホザキランの開花写真
シマホザキラン
アサヒエビネの開花写真
アサヒエビネ

シマホザキラン

父島の中で生息しているのはほんのわずか。雨が少ない時は水やりをしに行くなど、手塩にかけて保護している植物です。そんなシマホザキランを増やすための技術確立を目指し、ここ数年は毎年人工授粉を行なっております。

今回、私も専門家の方のご指導をいただきながら挑戦してきました。
ただ、シマホザキランの人工授粉は本当に難しい。花が小さいため、花粉はとっっっっても小さく、しかも花粉を付ける柱頭は見えません。過去、授粉に成功したのは2,3人しかいないとか。。

下の写真は、ピンセットの先に花粉が付いている写真です。とっっても小さいですよね。
この小さな花粉を、柱頭に授粉させます。
ピンセットの先についた花粉
不器用な私にとって難易度の高い作業で、プルプルする指先を必死に押さえながら、耳元で蚊がプゥ~ンと飛んでもなんのその、全神経を目と指先に集中させて授粉作業を行ないました。

授粉ができるとずい柱と呼ばれる雄しべと雌しべが合体したもの(写真赤丸)がU型からO型に変わります。
授粉前と授粉成功後のずい柱
左:授粉前 右:授粉成功後
果たして、私の授粉作業は成功したのでしょうか・・・?
下の写真は人工授粉作業から数日経った写真です。みなさんもチェックしてみてください。
授粉してから数日後の写真
授粉作業から数日後のずい柱の様子
O型になって・・・ない、、、
2度チャレンジしましたが、いずれも失敗に終わりました。これほど難しいとは、、、

アサヒエビネ

アサヒエビネはきれいな黄色の花を咲かせ、小笠原の森の中を明るく彩ってくれています。ただ、新しい芽がなかなか確認されていません。発見を今か今かと待ち望んでいる植物ですが、ただ待つだけではありません。新しい芽が少ない原因を探るべく、毎年人工授粉を実施しています。

アサヒエビネの花はシマホザキランと比べて大きく、人工授粉作業はとてもやりやすく感じました。
ただ、その分、成功させなければという想いが出てきてしまいとても緊張しました(笑)

結果は、残念ながらこちらも失敗、、、人工授粉の難しさを痛感しました。
ただ、専門家の方が授粉作業した花は無事成功し、花の下からぷっくりとした結実が確認できました。
アサヒエビネの結実
私の授粉作業は残念な結果となりましたが、次の世代を生み出すきっかけに携われ、とても貴重な経験ができました。
人工授粉に成功した果実が順調に育つよう、これからも日々の巡視を行なっていきます。