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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

猫越岳山頂の池『モリアオガエル』を探して

2024年06月17日
沼津 山田優子
みなさま、こんにちは。沼津管理官事務所の山田です。
紫陽花の季節になり家の紫陽花が咲くのを楽しみにしていましたが、今年は花芽が確認出来ず、、、沿道の紫陽花を楽しんでいます。そろそろ沼津も梅雨入りしそうです。
 
今回は、6月の初めに伊豆山稜線歩道「猫越岳(ねっこだけ)山頂の池」でモリアオガエルの卵を確認したので紹介したいと思います。
猫越岳山頂の池は、伊豆山稜線歩道の仁科峠から天城峠へ向かった途中にある、浸食された溶岩がつくった斜面にできた池です。かつては火口湖と言われていましたが、猫越火山の火口はすでに浸食により失われているそうです。池を覆い尽くしているのは浮葉植物の多年草ヒルムシロです。葉の下をじっくり見るとたくさんのオタマジャクシがいました。
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猫越岳山頂の池
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ヒルムシロとオタマジャクシ
池の各所からコロコロコロ、、、とモリアオガエルの鳴き声が聞こえてきました。一般的なカエルの合唱とは全く違います。鳴き声が聞こえているので、今年も姿を確認したく木の上を双眼鏡で観察しましたが、どこにもいません、、、しばらく池の脇にある木の上の卵魂周辺を探しましたが見つけることが出来ませんでした。
おもに森林に生息するモリアオガエルですが、産卵の時期(4月~7月)は水辺に集まってきます。成体の体長はオスが4㎝~6㎝、メスは6㎝~8㎝で、メスの方が大きいです。
木登り上手なモリアオガエルは、水面の上にせり出した木の枝や、草の上などで産卵します。写真の樹上にある白い繭のようなものが卵魂です。卵魂の位置を見て分かる通り、何メートルも木登りをして産卵しています。写真のモリアオガエル長い脚と大きな手の吸盤を見ると納得出来ます。細めの枝もしっかり掴んでいます。
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モリアオガエル
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樹上の卵魂
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モリアオガエルの指先の吸盤
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樹上の泡巣(泡状の巣)は捕食者と乾燥から卵を守るためと言われています。また産卵の時期は梅雨で雨が多いため、水のない樹上でも孵化までの間、卵魂の乾燥を防ぐことが出来ます。今年は梅雨入りが遅く雨が少ないせいか2年前の同時期に撮影した卵魂と比較すると表面が乾燥しているように見えました。一般的なカエルの卵とは全く違うので初めて見た人はこの白いメレンゲのような物体が何なのか想像がつかないかもしれません。
卵魂の中で孵化したオタマジャクシは、卵魂と一緒に水面に落下します。その後イモリやヤゴなどに食べられず無事試練を乗り越えカエルの姿に成長できると森へ帰っていきます。
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モリアオガエル卵魂2024年
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モリアオガエル卵魂2022年
今回の日記に使用したモリアオガエルの写真は過去のもので、今年は残念ながら姿を確認することが出来ませんでしたが、タイミングと運が良ければ発見できるかもしれません。
モリアオガエルは一度の産卵で300~600個ほどの卵を産むと言われています。たくさんのモリアオガエルが無事に森に帰り来年は会えるといいなと思います。