アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]
南崎海鳥保護柵・ノネコとの知恵比べ
2024年12月05日
母島
環境省では、数少ない有人島の海鳥繁殖地である母島南崎に、捕食者であるノネコの侵入を防ぐための保護柵を設置しています。
南崎は母島の最南端にある半島で、半島を分断するように設置した柵の内部では、カツオドリやオナガミズナギドリが繁殖しています。
南崎は母島の最南端にある半島で、半島を分断するように設置した柵の内部では、カツオドリやオナガミズナギドリが繁殖しています。
昨年、この保護柵内に「ある黒ネコ」の侵入が頻発していました。
柵内で撮影された写真には短い尾が曲がった黒ネコが。このネコは警戒心が強く捕獲罠にかからず、我々を嘲笑うかのように柵内への侵入を繰り返していました。我々はこのネコを「尾曲り黒」と呼び、柵内外での挙動にやきもきしていました。
柵内で撮影された写真には短い尾が曲がった黒ネコが。このネコは警戒心が強く捕獲罠にかからず、我々を嘲笑うかのように柵内への侵入を繰り返していました。我々はこのネコを「尾曲り黒」と呼び、柵内外での挙動にやきもきしていました。
この「尾曲り黒」への対策として、まず侵入経路を特定するためにセンサーカメラを設置しました。尾曲り黒も毎日通っているわけではないので空振りの日々が続きましたが、しばらくして柵の東端の海食部から侵入している姿がカメラに捉えられました。人間目線だと断崖絶壁でもネコにとってはただの迂回路だったようです。
この海食部を横断できないようにするにはどうすれば良いのか悩んだ末、ネコの足がかりとなりそうな岩肌を分厚い樹脂製シート(通称:掛け軸)で覆ってみたところ、狙い通り、東側からの侵入はなくなりました。
ところが数日後、今度は反対側の崖から侵入経路を伺うような「尾曲り黒」の姿がカメラに写っていたのです。西側の崖も我々から見れば断崖絶壁ですが、よく見るとネコなら行けてしまいそうな地形です。しかし一箇所だけ完全にオーバーハングしている場所が。ここならネコも迂回できないと考えた我々は、思い切ってこのオーバーハング部分めがけて本柵から分岐する枝柵を設置しました。(この場所での作業は非常に危険なため苦肉の策でした。)
強風・台風の度に補修が必要になることもありますが、柵の両端の迂回路を潰したことで、頻繁に侵入していた尾曲り黒はめっきり撮影されなくなりました。
この海食部を横断できないようにするにはどうすれば良いのか悩んだ末、ネコの足がかりとなりそうな岩肌を分厚い樹脂製シート(通称:掛け軸)で覆ってみたところ、狙い通り、東側からの侵入はなくなりました。
ところが数日後、今度は反対側の崖から侵入経路を伺うような「尾曲り黒」の姿がカメラに写っていたのです。西側の崖も我々から見れば断崖絶壁ですが、よく見るとネコなら行けてしまいそうな地形です。しかし一箇所だけ完全にオーバーハングしている場所が。ここならネコも迂回できないと考えた我々は、思い切ってこのオーバーハング部分めがけて本柵から分岐する枝柵を設置しました。(この場所での作業は非常に危険なため苦肉の策でした。)
強風・台風の度に補修が必要になることもありますが、柵の両端の迂回路を潰したことで、頻繁に侵入していた尾曲り黒はめっきり撮影されなくなりました。
これで鳥たちの安全が確保されたかと思いきや、平和な日々は長くは続きませんでした。
「尾曲り黒」との闘いに勝利して約1年、柵内で以前の「尾曲り黒」とは違う新たなネコの姿が写ってしまいました。東の掛け軸も西の枝柵も機能しているので、侵入経路は別にあるようです。
新たなネコは「尾曲り黒」と同じく黒ネコですが、尾が長く、先っぽだけ曲がっています。我々はこのネコを「尾長先曲り黒」と呼び、新たな闘いに身を投じることになりました。まずは侵入経路の特定からです。
さらに悲劇は続きます。これまで沈黙していた「尾曲り黒」までもが再び柵内に姿を現したのです。こちらも以前とは別ルートでの侵入のようです。
これではまるでノネコごっこ、ではなくイタチごっこです。
「尾曲り黒」との闘いに勝利して約1年、柵内で以前の「尾曲り黒」とは違う新たなネコの姿が写ってしまいました。東の掛け軸も西の枝柵も機能しているので、侵入経路は別にあるようです。
新たなネコは「尾曲り黒」と同じく黒ネコですが、尾が長く、先っぽだけ曲がっています。我々はこのネコを「尾長先曲り黒」と呼び、新たな闘いに身を投じることになりました。まずは侵入経路の特定からです。
さらに悲劇は続きます。これまで沈黙していた「尾曲り黒」までもが再び柵内に姿を現したのです。こちらも以前とは別ルートでの侵入のようです。
これではまるでノネコごっこ、ではなくイタチごっこです。
現在は侵入経路を特定するためにセンサーカメラを増設し、監視を続けている状況です。
これからも貴重な海鳥の繁殖地を守るため、人間とネコの知恵比べは続きます。
また進展があれば続報いたします。
これからも貴重な海鳥の繁殖地を守るため、人間とネコの知恵比べは続きます。
また進展があれば続報いたします。