関東地域のアイコン

関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

世界遺産の自然の中で学ぶ 小笠原高校兄島環境学習

2025年01月09日
小笠原 河村雅史
皆さん、こんにちは。
環境省小笠原自然保護官事務所の河村です。

小笠原高等学校の一年生は、世界自然遺産の地における自然保護活動について理解を深めることを目的に、一学期間にわたる探求的な学習に取り組んでいます。例年同様、環境省も講師として参加し、授業を通じて保全の取り組みを紹介したほか、兄島への訪問の際も高校生たちを引率しました。

兄島は、父島の北に位置する無人島で、島のほぼ全域が森林生態系保護地域に指定されており、一般の方が訪れる機会はほとんどありません。
高校生にとっても、兄島を訪れることは非常に貴重な体験になるはずです。

11月24日 兄島訪問の日

雨により1日延期になりましたが、当日は天候に恵まれ無事に行くことができました。
兄島に到着後、観察地点へ移動する様子
午前中は、小笠原諸島森林生態系保全センターによる植生調査に関する授業、自然環境研究センターによる陸産貝類の授業が行われました。人為的に開発されたエリアから植生遷移が進んでいるエリアでコドラート調査実習や、兄島でしか見ることができない固有の陸産貝類の観察を通して、フィールドならではの貴重な経験を積んでいました。

お昼にお弁当を食べた後は、環境省主導で水生生物の観察を行いました。
高校生たちは、エビや魚などを手際よく見つけ、写真を撮影しながら種類を記録していました。
水生生物観察のポイントや注意点等を伝達
水生生物の観察の様子
当日見つかった生物

12月2日 小笠原高等学校にて授業の日

授業の冒頭では、事前に学校内に設置していたグリーンアノールトラップを回収しました。トラップは環境省が兄島や母島でグリーンアノールの捕獲や分布確認に使用しており、その結果と今回の記録で捕獲効率の比較を行いました。
続いて、環境省が進めている最新の取り組みとして、「大丸山囲い込み柵工事」と「兄島での殺鼠剤空中散布」の2つを紹介しました。これらの活動を通じて、世界遺産地域での保全の取り組みについて理解を深めていただけたのではないかと思います。
授業の様子
小笠原に暮らしている高校生の皆さんに、小笠原が世界遺産に認められた、世界的に見ても非常に価値の高い自然が沢山残る兄島を実際に訪れ、小笠原の自然の貴重さや、それを守るための保全活動の重要性を改めて実感し、理解を深めてもらえたのであれば幸いです。