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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

今が旬!サクラだらけの島、伊豆大島

2025年04月08日
伊豆諸島 小野可蓮
こんにちは。鳥と花が好きな小野可蓮です。
新年度が始まり、フレッシュな気分の日々。
自然と新しいことを始めたくなるので、春だなあ、としみじみしちゃいます。
先日は裏砂漠で、初めて「ハイイロチュウヒ(ハイチュウ)」にも遭遇できたので、今年はついてるのかもしれません。
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△ ハイイロチュウヒの飛んでいく後ろ姿(目で見れただけで充分、ということにしておきます)
さて、伊豆諸島に来てから、毎年楽しみにしているものがあります。
それは「オオシマザクラ❀」の一斉開花!
今年は丁度今頃(4月7日前後)がピークでしょうか。
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△ オオシマザクラ 白っぽい花で、近付くとかすかにサクラの香りがする
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オオシマザクラは伊豆諸島のサクラ(伊豆諸島の固有種(あるいは準固有種))で、中でも伊豆大島に多く自生しています。
活火山である大島は、噴火の影響で植生の遷移を見られることが知られていますよね。
 
島内には、裸地から極相林までありますが、主に東側の山の斜面を中心に、丁度サクラが生えるような森(環境)が多いようです。
年数でいうと、大体150年前後の森でしょうか。
 
島内でのオオシマザクラは、極相林で見られる、大きなスダジイなどと混生している場所もあれば、先駆植物であるオオバヤシャブシと一緒に見られる場所もあります。
深緑や黄緑に、オオシマザクラの白がちりばめられた山の様子には、心が洗われます。
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△ 御神火スカイラインからの景色 様々な緑の中ちりばめられた「白」に心躍る
伊豆大島では、一番大きな集落である元町地区の上の斜面(御神火スカイライン沿い)が、オオシマザクラで覆われています。
4月に満開になると、見応え抜群です。

この斜面は、2013年に大規模な土砂災害が発生した場所でもあり、今でもその爪痕が残されています。
春になると、崩れた部分に生えているオオバヤシャブシが、一斉に鮮やかな黄緑に芽吹きます。
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△ オオバヤシャブシの黄緑にオオシマザクラの白が映える
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サクラだけでなく、多くの花々の時期が、(近年では気候変動の影響もあり)毎年少しずつ異なります。
たとえば、この5年間の中でも、この場所が満開を迎えた日付は以下の通りです(主観)。
2021年:3月27日
2022年:4月1日
2023年:3月28日
2024年:4月7日
2025年:4月7日
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△ メモリアル公園から見た、元町上の斜面 春~秋は、霞や霧がかかりやすいです
年によっては1週間以上ずれることも!
山奥に生えている希少種など、何回も足を運ぶのはむずかしいため、開花時を逃してしまうこともあります。
が、ここは集落の近くであるため、このように毎年の開花時を追うことも可能です。
 
自然や生き物は、一度見たから良い、だけではなく、年変化など含め、長い目で見ることも大きな楽しみだと感じています。
もちろん、街中の街路樹や、田舎の河川沿いのサクラもきれいで好きなのですが、個人的には自然の中の「野生のサクラ」というだけで、萌えます・燃えます!笑

オオシマザクラには、メジロやヒヨドリ、ヤマガラなどが集まるだけでなく、外来種のタイワンリスやタイワンザルも、花の蜜や果実(サクランボ)を毎年心待ちにしているはずです。
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△ 野生のオオシマザクラ 様々な命を繋いでいる
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みんな大好きなサクラですが、植生の遷移が進めば、森は暗くなり、自然とサクラは他の常緑樹に置き換わっていきます。
もしくは、噴火が起きれば、また裸地からスタートとなるかもしれません。
「今が旬」、というのは、単純にこの時期というだけでなく、数十年後には景色ががらっと変わっているかもしれない、という意味でも、やはり「今が旬」ですね。
 
そんな活火山でしか体験できない「変化」を想像する癖がつきました。
遙か昔から受け継がれた日本固有の自然も大事ですし、このような変わりゆく自然も今後とも目が離せません。
日本の、世界の、様々な自然を大切にできる、未来を作っていきたいですね。
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△ 御神火スカイラインから見下ろすと、元町の集落と元町港

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