関東地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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みなさん、こんにちは。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、南アルプスには防鹿柵(*)と呼ばれる柵が設置されています。この柵は、高山帯に進出するようになったニホンジカの採食から高山植物を保護するためのもので、国、県、自治体、NPOが協力し、仙丈ヶ岳、北沢峠、北岳、三伏峠、荒川岳、聖平、茶臼岳など南アルプス各地に設置しています。柵には、1年中設置されているもの、雪解け後に立ち上げ、積雪前に片付ける季節型のもの、背の低いこたつ状のものなど、様々なタイプがあります。雪解けが進む中、季節型の柵の立ち上げ作業が進められ、各地の作業が完了しました。今回は荒川岳の防鹿柵をご紹介します。
荒川岳は南アルプス南部、静岡県にある山です。悪沢岳(東岳)、中岳、前岳の3つの山を総称して荒川三山とも呼ばれ、最も高い悪沢岳の標高は3,141mあります。この荒川岳で、7月10日から12日にかけて中岳と荒川小屋の間に設置された3基の季節型の防鹿柵の立ち上げ作業が行われました。(赤石岳方面から見た荒川三山。赤丸で示した付近に作業が行われた柵があります。)柵は急斜面に設置されているため、足場はよくありません。しかも、高山植物がたくさん生育しているため踏まないように気をつける必要があります。もちろん作業は柔らかい素材でできた地下足袋等に履き替えて行うので、植物を傷つけにくいのですが、そうは言っても踏まないに越したことはないですよね。足元の安全と植物に気を遣いながら、みなさん作業をしてくださいました。(中岳の西カール底に設置された柵の立ち上げ作業の様子。広大なカールの中に広大な柵。人がとても小さく見えます。7月11日)*荒川岳を登山される方へ*中岳から荒川小屋へ向かう途中には、登山道を横断するように設置された柵が1基あり、登山者は扉を開けて防鹿柵の中に入り、柵で囲われたお花畑の中を通り抜けることになります。このため、登山者のみなさまには柵の扉の開閉をお願いしています。(写真のように、扉は中岳側と荒川小屋側に計2ヶ所あります。 柵の上部から赤石岳方面を撮影。7月12日)ニホンジカが中に入ってしまうのを防ぐために、扉を確実に閉めてくださいますよう皆さまのご協力をお願いします。* 南アルプスの防鹿柵について南アルプスの高山帯では、かつて、ニホンジカは見られなかったと言われています。しかし、平成10年頃からニホンジカが稜線付近にまで登るようになり、高山植物が食べられ、植生や景観に深刻な影響が出るようになりました。この問題に対応するため南アルプスに関わる行政やNPO等が高山植物を保護するための柵を設置するなどの取組を行っています。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、日光、尾瀬、秩父多摩甲斐、小笠原、富士箱根伊豆、南アルプス国立公園があります。
みなさん、こんにちは。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、南アルプスには防鹿柵(*)と
呼ばれる柵が設置されています。
この柵は、高山帯に進出するようになったニホンジカの採食から高山植物を
保護するためのもので、国、県、自治体、NPOが協力し、仙丈ヶ岳、北沢峠、
北岳、三伏峠、荒川岳、聖平、茶臼岳など南アルプス各地に設置しています。
柵には、1年中設置されているもの、雪解け後に立ち上げ、積雪前に片付ける
季節型のもの、背の低いこたつ状のものなど、様々なタイプがあります。
雪解けが進む中、季節型の柵の立ち上げ作業が進められ、各地の作業が完了し
ました。
今回は荒川岳の防鹿柵をご紹介します。
荒川岳は南アルプス南部、静岡県にある山です。悪沢岳(東岳)、中岳、前岳
の3つの山を総称して荒川三山とも呼ばれ、最も高い悪沢岳の標高は3,141m
あります。
この荒川岳で、7月10日から12日にかけて中岳と荒川小屋の間に設置された
3基の季節型の防鹿柵の立ち上げ作業が行われました。
(赤石岳方面から見た荒川三山。赤丸で示した付近に作業が行われた柵があります。)
柵は急斜面に設置されているため、足場はよくありません。しかも、高山植物が
たくさん生育しているため踏まないように気をつける必要があります。
もちろん作業は柔らかい素材でできた地下足袋等に履き替えて行うので、植物を
傷つけにくいのですが、そうは言っても踏まないに越したことはないですよね。
足元の安全と植物に気を遣いながら、みなさん作業をしてくださいました。
(中岳の西カール底に設置された柵の立ち上げ作業の様子。広大なカールの中に
広大な柵。人がとても小さく見えます。7月11日)
*荒川岳を登山される方へ*
中岳から荒川小屋へ向かう途中には、登山道を横断するように設置された
柵が1基あり、登山者は扉を開けて防鹿柵の中に入り、柵で囲われた
お花畑の中を通り抜けることになります。
このため、登山者のみなさまには柵の扉の開閉をお願いしています。
(写真のように、扉は中岳側と荒川小屋側に計2ヶ所あります。
柵の上部から赤石岳方面を撮影。7月12日)
ニホンジカが中に入ってしまうのを防ぐために、扉を確実に閉めてくだ
さいますよう皆さまのご協力をお願いします。
* 南アルプスの防鹿柵について
南アルプスの高山帯では、かつて、ニホンジカは見られなかったと言われています。
しかし、平成10年頃からニホンジカが稜線付近にまで登るようになり、高山植物が
食べられ、植生や景観に深刻な影響が出るようになりました。この問題に対応するため
南アルプスに関わる行政やNPO等が高山植物を保護するための柵を設置する
などの取組を行っています。