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関東地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [関東地区]

「STAY HOME」伊豆半島のお家大好きな生き物たち 第3弾 #STAYHOME

2020年05月01日
下田 齋田滉大

みなさん、こんにちは。洋菓子作りに使用するバターの量に驚きを隠せない齋田です。

新しいことに挑戦すると、今まで知らなかった(目を背けていた)色々な発見に遭遇しますね。

外出自粛中は部屋にこもりきりで退屈に感じるかもしれませんが、これを機会に少しだけ自分の世界を広げてみるのも楽しいことだと思います。

さて、今回の日記でも、前回前々回の日記に引き続き、これまでの巡視で出会った引きこもりが得意なインドア系の生き物たちをご紹介します。

休日を自宅で過ごしているのはヒト科のみなさんだけではありません。

今回みなさんにご紹介するのはこの生き物!

お家を背負った究極の引きこもり、でんでんむしむしカタツムリでおなじみの「マイマイ属」です。

【マイマイ属 2019.07.05 静岡県南伊豆町】

雨の日に多く見かけるカタツムリ。その愛らしい見た目から、子どもの頃に飼育した方も多いのではないでしょうか。大きなお家を背負ってのそのそと這う姿は見ているだけでとても癒やされますね。

「家を背負っているから"引きこもりが得意なインドア系の生き物"として紹介するのは短絡的だ」と思われたかもしれませんが、第3弾にしてネタが尽きたわけではありません。実はカタツムリの殻のようにもう一捻り理由があるのです。

さてさて、そんな可愛らしいマイマイ属ですが、彼らの多くは同種であっても殻の色彩や形状の地域変異が著しく、環境調査の現場では同定(生物の分類学上の名称を明らかにすること)が非常にやっかいな調査員泣かせの生き物としても知られています。

写真の個体はその特徴的な色彩パターンからミスジマイマイのように見えますが、撮影地は伊豆半島最南部の南伊豆町。こちらにはミスジマイマイの亜種であるシモダマイマイが広く生息しています。

陸産貝類の同定ポイントにはしばしば生殖腺の形状があげられますが、残念なことにミスジマイマイの亜種にはその形状に顕著な差がみられないことが多く、同定にはDNA解析が用いられることが少なくありません。

お家を背負っている姿だけでなく、同定には研究室にこもって室内分析を行う必要がある彼らは、まさに究極の『インドア系の生き物』と言えるのです。

次回も伊豆半島でみられるお家が大好きな生き物をご紹介します。お楽しみに♪

■タイトル末尾のハッシュタグ #STAYHOME について

新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛を受けて、国立公園の魅力をインターネット上で広く情報発信することを目的とした『#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト』が令和2年4月23日(木)より始動しました。

当日記においても、かねてより「STAY HOME」を呼びかけてきましたが、新型コロナウイルス感染症の収束をより一層に願い、日記タイトルにはプロジェクトの象徴であるハッシュタグ #STAYHOME を追加してお送りしています。